さて、ついに真打登場です。
味噌ぴさんの治った自慢から。ご長男バージョン。
全文引用させていただきます。
もう27歳にもなった長男の治ったをどう書けば良いのか分らぬままに画面に向かっております。
自傷・他害・聴覚過敏・虚弱・軟弱(笑)・・・あげれば切りなく浮かんできます。おそらくこれら全て治ったと思います。中学生までは他害以外全部まだありました。そして一生付き合わなければならないのかとうんざりしておりました。
どこが糸口だったのか明確には分かりませんが、この10年を正に快進撃のように駆け抜けて来たように思うのはもちろん花風社さんあっての事、今は社会人として日々充実した毎日です。
だから敢えて今自慢するとしたら、今年の1月から週5日8時間勤務して週末は楽しく出かけている、健常者となんら変わりませんよ、と言う部分でしょうか。昔、言われましたよね?名誉健常者?上等じゃないですか!(笑)。
ゴールデンウイークはもちろん自分の貯めたお金で二泊三日の東京・横浜観光旅行を一人で楽しんで来ました。旅行代理店も何もかも私はノータッチでお土産をもらえました。
そうして彼は今、次の目標に向かって日々努力しています。一応、二年計画の予定でして叶ったらまた報告しますね。
実は自慢したい「治った」がたくさんあり過ぎます。もったいぶるのではなく整理できないので、今後も小出しにして行こうかな?と。このお部屋の常連宣言!(笑)をして今日はこの辺で。
お母様ご自身が書いていらっしゃるように、味噌ぴ家ご長男はもう治ったところがありすぎて、どこから書けばわからないのですね。
ずっと前からの花風社読者で、同じように過敏で虚弱だった藤家さんがどんどん丈夫になり、ついに(障害者枠ではなく)一般就労するのを見てきて(その経緯を知りたい方は『30歳からの社会人デビュー』を読んでくださいね)
ご自分のところも、と希望をつないでこられたのでした。
そして神田橋先生、愛甲さん、栗本さんの著作を追ってきて、その知見を生活に取り入れた。
ご長男自身も積極的に取り組んだ。その結果過敏性がなくなり、この夏は花火大会なども楽しまれたばかりか、爆音の中職場の一員としてお祭りのイベントにも参加するとか。
専門学校卒業後安定した雇用いくつかにめぐりあい、その都度ステップアップ。
そして今は扶養家族を離れ、さらなるステップアップのための準備も始めた。
特筆すべきは、ギョーカイの渦巻く地域だったにもかかわらず、知的障害があっても普通コースをたどることを主体的に決定してきたこと。
その努力の賜物で、就活のときの履歴書が健常者に比べても遜色がありません。
味噌ぴ家ご長男には知的障害があったけど、漢検や英検を頑張った。
知的障害ということで、最初は受験に難色を示していた専門学校が、漢検や英検を取っていることを話すと「受験してください。入学金は免除」と言ってくれたとのこと。
一方で学習障害の人が受験しようとしたら「漢字が書けない人はちょっと」と辞退を促されたとのこと。
これが社会です。
社会は知的障害があるなしより「今何ができるか」を重視する。
いったん診断を下したらそのレッテルを生涯はがすな、という医療福祉より一般社会の方がずっとフェアだと思いませんか?
努力を認めるのは一般社会だと思いませんか?
そして味噌ぴ家が暮らす先進地域では、早期診断も早期介入も盛ん。その結果早期に診断され、早期に介入され、今は作業所に向かうバスに揺られている人もたくさんいるそうです。
元々の障害はご長男よりずっと軽かった人も、早期介入されて制度が整っているから作業所にまっすぐ向かうことが多い。
そこにはやはり主体的にあらがわないと、同じコースに乗ってしまうのですね。
作業所に向かうことを揶揄しているのではありません。
ただ
ゴールデンウイークはもちろん自分の貯めたお金で二泊三日の東京・横浜観光旅行を一人で楽しんで来ました。旅行代理店も何もかも私はノータッチでお土産をもらえました。
これはまともな賃金のフルタイムの仕事についたからできたこと。
そう。
就労した人は、たとえ知的障害があっても、高機能で世の中に不満ばかり抱き、楽しみと言えばスマホに向かって「働いたら負け」みたいなことをつぶやくぐらいしか暇つぶしの方法がない人が夢見たこともない世界を見られるのです。
そこで「就労なんてつらそう」と思って福祉に身を委ねるのも自由。
GWに飛行機に乗って遊びに行くだけの稼ぎがほしい、と頑張るのも自由。
日本は自由な国ですよ。
そして花風社クラスタの皆さんは、味噌ぴ家に続きたいからここに来てるんですよね。
あまりに真打すぎてどうご紹介しようと考えていた味噌ぴ家のエピソードをようやくご紹介できるのは、昨日著者との話し合いで新刊タイトルが決まったからでしょう。
タイトルは
「発達障害でも働けますか?」
サブタイトルは
「経済的自立とその先を目指すための成長戦略」
です。
発達障害でも働けますか? って働けるに決まっているのです。
たくさんの発達障害の人が現に働いている。
でもね
知的障害でもステップアップを目指す人がいる一方で、高機能でも「働いたら負け」の人もいる。
薬のみながらようやく仕事していて、つらいもんだから、世の中に不満たらたらの人もいる。
その違いはどこにあるのでしょう?
ステップアップを目指せるような人になるには、何が必要なのでしょう。
そして労働現場は発達障害の人をどう見ているのでしょう?
ということを、産業領域で働いてきた心理職の人が教えてくれます。
神田橋門下です。
出版は9月下旬ですが、それに先立ちセミナーを9月16日に横浜で開きます。
ここでは質疑応答の時間を設けようと思っています。
子育て中の方はもちろん、成人で就労に関する相談、あるいは就労した先で様々な悩みを抱えている方もいると思いますので。
できれば今週末にご案内を流します。
MLに登録希望の方は花風社にメールくださいね。
きっと、十年以上もかかっての少しずつの歩みが、スペクトラムをずらして来たのだろうなぁとしみじみ思います。社会貢献と言う言葉は長男もモチベーションが上がるようで、とても誇らしげです。働く・稼ぐ・使うと言う社会人としての当たり前な流れを当たり前にやっている事、それが普通な毎日になりました。
行事の度に立ち尽くしていたあの頃とは別人に成長出来る事を、治そうどっとこむの皆さんに伝えて行きたいです。
長男の治ったを取り上げて頂きありがとうございます。
土曜日はいつもなら次の目標に向けて更なる努力を課し、そしてその成果を大久保さんの助けをお借りし確認する日なのですが、当地は一昨日から全市を挙げてのお祭りでして、今日は夕方から職場の皆さんとお祭りを盛り上げに参加するため、ちょっと「おだって」準備中です。
さて、次のご本大変楽しみです。サブタイトルの「経済的自立とその先を目指すための成長戦略」はまさに私たちが今!取り組んでいるものです。経済的自立を果たすのに彼は専門学校卒業から5年を有しました。そしてそれを揺るぎないものとするためにも頑張ってるわけですが、成長戦略は当然幼い頃からあった方が望ましく、治る希望と一緒に歩まれるとなお良いですね。
仰る通り藤家さんの背中を追った私たちですが戦略は常に練って来ました。こんな素敵な場ができたので、戦略のヒントはそこここに散らばっていますね。
次のご本を待ちつつ、ここに集う皆さんの言葉にも触発されながら前に進んでいきたいです。
味噌ぴさん、コメントありがとうございます。
合わせてひみつのお部屋での写真、拝見しました。
職場の一員として爆音の中お祭りに参加する勇姿。はじけるような笑顔。とてもかつて虚弱や感覚過敏に悩んだ方とは思えませんね。治るって素晴らしい、と改めて思いました。
9月16日の参加申し込みされた方の中にも「知的障害でステップアップ」を遂げてきた方がいらっしゃっるようです。
こうやって知的障害とされてきた方がフルタイムの仕事につく。
さらにステップアップする。さらに経済的自立を確実とするポジションを得る。
そうすると福祉の枠が一つ空きます。
これを「スペクトラムをずらす」と今度の本では呼んでいます。
そして味噌ぴさんのおうちはまさにスペクトラムをずらされてきた。
治るのは家族がうれしいだけではなく社会貢献です。
また治った自慢をお待ちしております!