藤家さんは「機械に疎いのでzoomとかわからない」というスタンス。
私は「あ~よくみんな使ってるね。テクニカルな問題知っている人がどうにかしてくれるのならぜひお願い」というスタンス。
で、急遽導入が決まったzoom。
私はすぐに愛甲さんに電話をかけました。
「いいですか? これからメールで送る口座に3000円振り込んでください。そうするとURLが送られてきます。それクリックすると藤家さんの講演がみられますよ」
なんでこんな省略した言い方をしたかというと、愛甲さんはデジタル音痴、っていうかデジタルフォビアだから。くどくど説明しても仕方ない。
zoom導入が決まるとすぐに南雲明彦さんが「参加します! すぐ振り込みます!」と言ってくれて「そうだ、著者の人たちにもみてもらうといいかも」と思ったのです。とくに今度の藤家さんの講演内容を事前に知っていた私は、愛甲さんに絶対みてもらいたかった。
愛甲さんも何かを察知したのでしょう。ためらわず手続きを進めてくださいました。
ちゅん平さんの神がかった演説の理由は、高校の時から通い慣れた博多だったっていうのもあったようですが、愛甲さんが見守ってくれている、というのも心強かったそうです。
そしてあの素晴らしい内容。
それはここで皆さんも言っているとおり。
南雲さんは「未来は変えていけるとわかった」と言ってくれた。私がお誘いした旧知の隣県のドクターは「120分しゃべり通す気力体力に圧倒された」とメールをくださいました。また誘い合ってくるはずだったけどzoomに切り替えた心理士の方たちは「自分で愛着障害を治したのがすごい! 今度はぜひ生でききたい。これからも花風社の本を応援します!」とおっしゃってくださいました。その他、九州で栗本さんがおつきあいがある支援者の人たちも「発達障害への考え方が変わった」等、栗本さんのもとにメッセージを送ってくださったとのこと。
不可思議な世界観、虚弱体質、発達障害、愛着障害、を全部治して今このときにきついドラッグストアの店員として働いている。その事実がもう、そのすべてが治るというエビデンスです。
ねこ母さんは私の講演を聴いて「ジムに行った後の爽快感」とおっしゃいましたが、私が藤家さんの講演を聴いた印象は「ベートーベンの第九を聴き通した感じ」。なぜそう思ったか突き止めるために私は今朝早くから第九を2バージョン聴きました。カール・ベームと佐渡裕。たしか歌詞にもぴったりくる場所があった。第九第4楽章の歌詞はご存じのとおりシラーのAn die Fruede という名作ですが、聴いていてそうだ、ここだと思いました。あの講演にぴったりの表現は。
Freude, schöner Götterfunken,
Tochter aus Elysium
Wir betreten feuertrunken.
Himmlische, dein Heiligtum!
ネットで探したけどろくな訳がないです。私が読んだ意味はこんな感じ。「歓喜よ、あなたは美しい神の光。楽園から来た娘。私たちは炎をのみこみ胸を熱くして、堂々とあなたのもとに踏み込んでいく」。歓喜という感情に向かって臆することなくしっかりと歩いていく感じ。私が藤家さんのこれまでの苦労、努力、そして未来への展望を聴いて感じたのはこれでした。
今の藤家さんをみたら信じられないような生きづらい世界観。それを見事に払拭して、堂々と自分の人生を歩いている。その感動を皆さん分かち合ったのではないでしょうか。
藤家さんが鬼気迫る勢いで120分しゃべり倒したのはzoomがなぜか途切れなかったから。私も「疲れないかな」と心配したのですが、下手に切ってしまってつながらなかったら会場の外ではがっかりする人がたくさんいるはず。だから「頑張れちゅん平! 頑張れzoom!」という気持ちでした。
藤家さんも同じ気持ちで頑張り通してくれました。毎日毎日たくさんのお客様に「マスクありません。入荷予定わかりません」とか言っている間に、喉まで強くなったそうです。
そしてついに最後までしゃべり通した瞬間、真っ先に拍手したのは私。なんでかっていうと、内容を事前に知っていたからここが最後だとわかった。そして皆さん、わっと拍手しましたね。
それから質疑応答。これは画面に出たり入ったりして少しフォローしました。普段は質疑応答ってなかなか出てこないものですがzoomだと出やすいのにびっくり。逆に現地の人が入り込めないじゃないかなと心配するほどです。
ただ、現地組が強いのはそのあと。通信を切ったあと、また感動的なイベントがありました。みるさんがねこ母さんにお祝いを贈呈するイベント。そしてこの会ができたのはみるさんがインスピレーションを与えてくれたから。私がそう言って、みるさんにも拍手が送られました。
そして会場のあちこちに、あるいは藤家さんを囲んで、人の輪。
私は後片付けを現地の方におまかせし、早々に帰路につかなくてはなりません。
駅に行ってお弁当を買いのぞみのホームへ。
そしてホームから愛甲さんに電話しました。真っ先に感想をおききしたかったのです。
素晴らしかったですね、今感想メールを書いていたところです、とのこと。
感想メールがまた素晴らしかった。
藤家さんと、そして仲間と分かち合いたくて、私はひみつのお部屋に貼りました。
藤家さんの胎児期・乳幼児期のトラウマがすっかりなくなり、美しさにもさらに磨きがかかって、輝いている姿を拝見できて嬉しかったです。
ここに至るまでよくがんばりましたね。
神経発達症が治っていく過程に関する1人称の語りは、専門家や研究者が伝える3人称的概念とは違って、ストレートに心に伝わってきました。
「やっぱり発達障害は治るんだ」と再確認できた感じです。
15歳から向精神薬を20年以上飲み続けてきて、断薬にこぎつけることができた人がこれまでどれだけいたでしょうか。
また、福祉の手厚い支援を受けながら、支援と断絶して自らの力で仕事を勝ち取って働き続けている人がこれまでどれだけいたでしょうか。
のぞみはゆっくりと九州を離れます。
私は明日見送る恩人のことなど考えながら、車窓をみていました。
本州に入ります。
駅弁を食べていたら夫からLINE。予定通りの列車に乗ったかどうかの確認。
乗ったとレスすると、駅まで迎えにきてくれるということでした。ジムの帰りだそうです。
荷物が多いからありがたいです。なにしろ焼酎だけで五本。
山城さんから饗宴の楽しそうな様子がメッセンジャーで送られてきます。
また治そう山脈が広がっている。
よかったよかった。
駅弁のあとはおやつ。
沖縄のお菓子とか、東北のお菓子がたくさんあった会場。
皆さんが持ち寄ってくださったのでしょう。
ぽつぽつと食べました。
紫芋ちんすこうおいしい。意外と焼酎に合います。芋同士ですもんね。
すいているのぞみは名古屋まで一車両6人くらい。
誰もマスクをしていない。この時期に新幹線に乗る人はそうでしょうね。
3月7日の質問会が飛んだ私もマスクはもうしないことにしました。
駅に着くと夫がいました。ジム帰りのさっぱりした顔をしています。
「やりきった感がある。突然のzoom導入だったのにとてもうまくいった。主催者のバックアップもちゅん平の講演もすごかった。この騒ぎの中、山城さんたちは六人連れできてくれた」
「よかったね」
夫はホッカイロを一つだけ持っていました。これ二人で握って手をつなぐと二人ともあったかい。三十数年前、大学で出会って以来ずっと続くライフハックです。
五十代後半になってもこんなことしてるんだから、新婚の津田ご夫妻がぴったりくっついて座っても仕方ないよなあ。
明日私たちは大恩人の骨を拾う。
感謝の念をこめて。
今自分たちがここにいることに。
そのために私は予定を切り上げて帰ってきた。
別れもあれば出会いもあって
今日、「どこでも治そう」がスタートを切った。
新型コロナの大騒動の中で開かれたこと
最後の最後に配信を決め、それがうまくいったこと。
藤家さんが神演説をしたこと。
それもすべて、いつかは懐かしい思い出になるのだろう。
そんなことを思いました。
お越しくださった皆さま、zoomでご参加くださった皆様
主催者の方々、突然の配信導入に伴い、主催者を当日支えてくださったブレインの方々
藤家さん
本当にありがとうございました。
「どこでも治そう発達障害」
今、始動です。
歓喜に向かって。
治りたい人は治ることが常識となる社会に向かって。
完