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ブルー

【追記】

>障害者への企業の理解が進んだ帰結

→言うまでもなく、法定雇用率も原動力ではあります。他にも、厚労省は様々な施策を打ち出してきました。

・定期的な法定雇用率の引き上げ
・障害者雇用の義務対象に精神障害者を追加
 (※これは精神の手帳を持つ人なので、ハッタツには朗報)
・義務対象となる企業規模の拡大(小規模企業も対象)
・法定雇用率が未達の企業名を公開する、などのペナルティの作成

厚労省はこの件については随分と頑張りました。そして今後も頑張り続けるはずです。

その結果、企業社会も選別を頑張っただけの話です。そして、選別をより精緻にするために理解を深めました。

それは外から啓発する人のいう事を鵜呑みにするのではなく、実際に自社で働く障害者たちを人事評価し、また自社で働く障害者たちの声を直接聴くことによって理解を深めてきたのです。

次回からの章はそういうことを掘り下げていきます。

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ブルー

<人材市場サバイバル>
連載第94回
第2部分析編
第1章:社会階層
その6:民間における支援機関
(5)中学受験塾と障害者エージェントの社会的構造の相似③

前回はこちら
https://naosouhattatushogai.com/all/conference-room/1126/comment-page-8/#comment-12839

今回も、中学受験塾と障害者人材エージェントの構造上の共通点を観ていきます。とはいえ前回と同じ内容なのですが、角度を変えて観てみます。

それと補足なのですが、中学受験塾と障害者人材エージェントを比較する際は規模を揃える必要があることに気が付きました。どちらの業態も大手と中小では体質が異なります。この連載では、大手の中学受験塾と、大手のエージェントを比較していることが前提になります。

■社会的選別システムの確立

この連載をお読みの方はもはやお気づきの通り、特に大都市圏の企業を中心とした障害者の社会的選別システムは確立されています。その社会的構造はこれからの時代において精緻になることはあっても、崩れることはありません。それは障害者への企業の理解が進んだ帰結です。

よって、花風社では懐かしの「社会の理解ガー」や、その現代形である「ダイバーシティガー」「多様性ガー」の言い分が企業社会に通ることは未来永劫ありません。この連載の第一部でも述べたように、これらの言い分は企業社会に対して「要求水準を下げろ」と言っているからです。つまり選別をザルにしろと言っているので、時代に逆行しています。

さらに言えば、こういう事を言う人達を弾くために、特に優良企業群における選別システムが確立したのです。

■上澄みを拾うシステム

そして中学受験もまた、限定的ですが、しかし確実に児童に対する社会的選別システムとなっています。

中学受験であれ、エージェントを経由した障害者採用であれ、それぞれのフィールドで主に最上位層から上位層の人材を拾います。そのため下位層は弾かれます。

例えば、中学受験の難関校の入試問題は算数を中心としてとても難しく、かつ小学生の2割くらいしか参戦しないので、偏差値50というのが平均的な能力を表しません。すでにそれが難関です。上位2割のそのまた平均だからです。勝負の土俵に上がるだけですでに選抜されているのです。

また障害者採用において、「OpenWork 総合評点3.0以上」の企業は求人票のレベルが高いです。エージェントにカネを払えるレベルの企業だからです。そしてそういう企業は受験すると基本的に落ちます。

私も、今の勤務先以外には受かりませんでした。落ちてばかりいました。しかしそれは私が選り好みしすぎたからです。良くも悪くもやりたい仕事がはっきりと定まっていたからです。

こういった精緻かつ市場競争的な社会的選別に挑む人を支援するのが中学受験塾であり、障害者を扱う人材エージェントです。

■機会と選別がワンセット

確かに都市部には障害者雇用の仕事があります。地方では、そもそも障害者雇用以前に仕事がない地域も多くあります。その点で都市部と地方には機会の差があります。都市部に生まれた私は、生まれ地域のガチャで当たりを引いたことも確かです。

しかし都市部には障害者雇用がそれなりに数多くありますが、応募する当事者も多いです。つまり競争的な市場が形成されます。結果、障害者採用でもそれなりの待遇の求人には厳格な選抜が行われます。

つまり障害者採用というのも健常者の採用と同じで、この世に楽な道がありません。よって絶望している当事者もいます。一方、自分自身をなんとかしようとしている当事者もいます。

中学受験であれ、障害者採用であれ、機会と選別はワンセットです。これもまた、世の中のありふれた日常です。

■中学受験の経験から

私は手帳を使って転職活動をするにあたり、絶対にエージェントを使おうと思っていました。一つは人材市場に入るためですが、もう一つは、エージェントを進学塾みたいに捉えていたからです。

塾を使わずして難関校に受かる人は稀です。難関校の合格者は、ほとんどが進学塾を使っています。同様に、都市部において障害者に対してある程度の待遇を用意できる企業に入社するには、どうしてもエージェントの力が必要だと思いました。そういう発想に至ったのも、私が都市部で中学受験をしていたからです。

今回でこの話題は以上です。そして次回から章が変わります。特に今回言及した「障害者の社会的選別システム」や「ダイバーシティ」などを掘り下げます。

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