「発達障害は一生治らない」と決めつけず、試行錯誤する仲間の交流サイトです。ご自由にご活用ください!

『発達障害治療革命! 脳神経内科医からの提言』のお部屋

画期的な本が出ました。

ついにきた、医療側からの「治そうよ」という力強いバックアップ。
脳神経内科医のドクターが、発達障害の解明と治療法を提示します。
この本について話し合いましょう。

32 COMMENTS

yasu

『発達障害治療革命』について読後の感想をお送りします。

以前にツイッター上で「ハッタツ大戦」なるものがあり、治る、治らない論争(?)があったことを記憶されていると思います。あの中で「治る」という言葉の意味するところについて、関係者(の一部)では深掘りが進み、その結果として、医療に何ができて何ができないのか(あるいは、期待してはいけないのか)が明確になりました。その結果、「治る」に対しては(用語の使用も含め)決着がついて、「身体アプローチ」と「親心」の関係も整理が進んで、「治る」は卒業したと思っていたので、今回の著書で「治る」が割と全面に出ていること、浅見さんがX上でNEUROで「治る」に関連した引用を発信されていることに、最初、私はやや意外に感じました。しかし下記に述べるように、「治る」はハッタツにおける中心的なパワーワードなので、「卒業」というのはそもそもあり得ないのかなとも思っています。

「ハッタツ大戦」で各自思ったところはあると思いますが、私の感じたことの一つして「治る」は医学が目指すものと家庭におけるものは分けて考えなければならないということです。医療者は社会的な機能として「他人を治す」ことが求められており、その基準はエビデンスに基づいたガイドラインで決められているのはご存じのとおりです。本来医療者はこの2つの「治る」を統合した上で患者と向き合うことが求められているわけですが、この点について及第点を出すのは難しいことも「ハッタツ大戦」で広く明るみに出たことかと思います。

「治る」とは(医療的に)どのような状態を指すのかについては、本来は医療側がきちんと整理しないといけないわけですが、今回の今回の田中先生のご発言で「最終的には通院しなくてもいい状態」を目指すとあって、これは医療側から見た「治る」の一つの形であります。DSM-Vの中にある「日常生活で困りごとが無いのであれば診断は不要」という考え方は同じであり、2つの「治る」は本質的に相容れないかと言うとそうでもないと思っていますが、それならばいったん付いた診断を「治った」から外すことも可能な筈なのですが、現状の医療現場でそれは難しい(そもそもガイドラインに沿って厳密に診断されていないし)わけで、医療側は何やっているんだと非難されても仕方が無いでしょう(※)。

※「治った」診断書が発行されという話は聞いたことがありませんが、公式文書が出て初めて公式に認めたことになるわけなので、医師から「治った」と言われたら「診断書に書いてください」と言ってみてください。そして結果を是非お教えください。民間医療保険の加入時における告知など、診断が付いたままだと当人にとって不利になる懸念がある局面は存在すると思うので、「治った診断書」のニーズはあると思いますが、医療側はこういう頭は無いと思います。

早期診断や早期療育介入の開始が世界的な標準となりつつある現状では、本来であれば不要である診断や過剰診断は今後否応なしに増えると思われます。そしてその大部分は医療的な「善意」に支えられたものであり、保護者としてそれに異を唱えるのはますますハードルが上がるでしょう。なので支援側に目をつけられる前になんとかすることの重要性もますます上がるでしょう。

既に大部分の方はお気づきかとは思いますが、発達支援の場でしばしば話題になる「普通」というのは「治る」と表裏一体の概念で、もちろん「ありのまま」や「一生治らない」とも密接に関連していますし、「二次障害」や「ソーシャルカモフラージュ」もここに繋がっています。ここら辺を意識しながら読むと頭の整理がつくのではないかと思います。

返信する
シア

yasuさん。

何をもって障害かと言ったら、「発達障害とはその特性で困ること」をそう呼ぶようです。
これは正式な定義ではないものの、研究機関で当事者に説明するプリントにそのように書かれていました。
社会生活等で別段大きく困っていなければ、それは障害とは言わないわけです。

健常と言われる人でも、ライフステージその時々で試練があるように、生きていく人は全員まだまだこれからいろいろあるでしょう。
別段「普通」と言われる人も普通=多数派と言い換えることもできますから、普通=多数派なら大丈夫で無条件で生きやすいとも言い切れないと思います。

いつか社長に言われたのですが、「上を目指さなくなったら落ちていくだけ」と言うのが競争原理の社会で誇張ではないです。
なんでもここまでやったら終わりと言うのは、引退するまでありません。
人生を最終的に引退するのは死ぬときでしょうから、それまで求められることは変わっていくので、発達も終わりがありません。

就労支援でも就職はゴールではなく通過点であり、「就役」したらそれを続けていくことが肝心です。
「治る」は医療や支援へ依存しなくなっただけでそれはそれで自分でしなければならないことがドドンと増えますが、土台がしっかりしていたらナントカやっていけるのではないかと希望が持って将来に望む水準に立てると言うのが、肝心だと思います。

※個人の考えですけど、今のところそのように考えています。

返信する
yasu

シアさん

特性で困った場合に支援(療育、投薬含めて)を提供するのは、私が認識している範囲ではDSM-Vが出てからの標準的な考え方かと思います。これと関連して以前にWISC-IVの講習会を受けたとき、臨床心理士の方も、困りごとを解決するための一ツールとして知能検査があるといった言い方をされていました。医学者(研究者)はこのように考えている人が大部分なのではと思いますが、支援現場では、「疑わしきは罰する」精神で、先回りして支援対象にしてしまう方向に圧がかかりますね。その方が支援側にとって楽だし。

社会生活等で大きく困らないのは、自分自身の他、周りがどうかというのもありますね。他害で自分が困っていなくても周りが迷惑していると受け入れられないですしね。

各自の環境は様々ですし時間にと共に変化するので、ある一定の基準で支援側が「困りごと」判定をするのは無理があると思っています。正確公平にやろうとすると、おそらく介護保険の重症度判定に近いものになるのではと思いますが、現実味は薄いように思います。個人的には、支援の環境が今以上に良くなっていく絵は描けないので、関わりは必要最小限にすべきとは思っていますし、コロナ禍を経てこの気持ちはますます強くなりました。

返信する
たにし

浅見さんがクリスマスの日に書かれた記事のコメントをさせていただきます。

息子の治った自慢を読まれた浅見さんから、「こんな記事考えていますが、書いていいですか?」と御相談をいただき、もちろん快諾させていただきました。

そして今、いろんなことが繋がりました。

夏、マジックショーに行った時、息子がアシスタント役に選ばれ、ステージ上でマジシャンの方と軽妙なやりとりをして、大爆笑のショーとなりました。
その動画を見返すと、マジシャンさんの問いに息子がトンチンカンに答えて、会場の笑いを誘うことが何度も。

マジ「安心できた?」
息子「楽しんできた!!」
みたいな。

耳は聴こえていますが、人の言葉としてうまく理解ができていなかったのでは?
今思えばそんな気がします。

あと、息子相手に晩酌していた時、写真を撮りましたが、顔に左右のゆがみがある点ことに気づきました。それが秋。
(先日知りましたが「あの神経」症候群の例としてネット上に載っている顔写真と似た特徴)

そんなこんなしていると、浅見さんから「たにしジュニアには顔のマッサージがいいかもです。」との御連絡をいただきました。
浅見さんが「発達障害 治療革命!」の発刊準備をされていた頃。

唐突で、なぜ浅見さんがそうおっしゃるのか、その時はわかりませんでしたが、僕は興味があったら四の五の言わず即断即決即実行がモットーなので、速攻、顔のマッサージを始めました。

松島さんに直接伝授していただいていた顔へのタッチを思い出しながら。

息子、最初の頃は「こちょばい」とか言ってましたが。今は気に入ってくれています。

そして、二学期は成績向上、皆勤賞で終えることができました。感謝です。

「あの神経」のことは、「発達障害 治療革命!」41ページあたりから、その記載がありますね。

粗大運動は、日時の成果で自然とできることもありますが、それに比べて、あの神経は、ある程度、人のアプローチが必要だと感じました。(簡単なタッチ程度ですが)

粗大運動に、あの神経へのアプローチが加わると最強ですね。

田中先生、浅見さん、新たな知見をありがとうございます。

返信する
浅見淳子

田中伸明先生(脳神経内科医)より
本をお読みくださった皆様、これからお読みくださる皆様へ

主題:「発達障害の治療ボックスについて(現在安全性、効果を検討しています)」

=====以下田中先生原文

海外での発達障害の治療は、薬物療法、心理療法に加えて、脳機能を測定して、脳機能を呼吸や思考法などの脳を調整するNeurofeedback療法が進化しています。

 薬物療法はその薬物のターゲットから、ADHDの集中力障害に対しては、薬理学的にも、脳機能的にも説明が可能です。(自閉症や学習障害、アスペルガー症候群などの薬は基本ありません)。

 薬物療法のターゲットはノルアドレナリン(ストラテラ、インチュニブ)、これは依存性が無い(弱い)と考えられています。一方ドーパミン作用が強い(コンサータ、ビバンセ)は、側坐核に作用して、依存性が高く、事実日本では依存性の高さから精神科医専門医でないと処方できない薬となっています。

 もう一つ大きな問題は、薬物療法は他に治療法が無ければ、辞めることが無いということです。小児から青年、成人に掛けて、服用することになります。

 一方Neurofeedback療法は、脳波を測定しながら、呼吸法や思考法で脳を安定する方法で、自力で治す方法で、依存性もなく、安全です。
 どこまで効果があるか、何に効果があるか、副作用ないか、など、米国での実地臨床してきた先生と協議しています。

 ベスリでは、見たことない、触ったことが無い、日本保険医療にないということで、完全拒絶するのでなく、海外で使われている診断、治療機器を、日本の中で安全、安心に使えるように、科学的に確認しながら、導入しています。

=====田中先生コメント終わり

=====以下浅見コメント

先生が構想中の発達障害診断・治療センター(仮)はきっと、書籍の中にあった治療ボックス及びステージアプローチに基づいた薬物治療と非薬物治療のコンビネーションになるのでしょうね(必要に応じて)。
そのご説明をいただきました。
薬の作用の違いなども、普段説明されないことが多いと思います。
参考になさってください。

返信する
浅見淳子

座波さんの「小脳の役目は?」という問いかけに対して田中先生よりお答えがありました。

=====田中先生引用

小脳は、運動を調整する、前庭神経などの体のバランスを取るために脳だと医学生
時代に教わりましたが、

 人脳である意識は、dlPFCの7つの文字しか覚えれれない小さいもの。その下に
DMNという思考の巨大な無意識領域と、自動運動、行動だけでなく、脳全体を制御し
ている無意識領域の巨大な領域が小脳なんです。(言葉が無いのでこれまで分析手法
手薄だった)

=====

その後先生から来たメールです

浅見さんへ 小脳の機能=自動運動です。

その小脳の働きに関して

ベスリクリニック田中です。

小脳についての問いあわせがあったと浅見代表から連絡を受けました。

 従来小脳の障害は、小脳出血、小脳梗塞、小脳腫瘍などの、小脳機能が欠損した状
態で、小脳機能をみてきました。その結果小脳障害は、運動調性障害、運動の細かい
微調整の障害が起きるので単に運動系の調整臓器と考えてきました。

 そもそも精神症状は言葉できています。脳全体で言葉の極めて小さく、人脳である
dLPFC(背外側前頭前野)の7つも数字を記憶できる領域に送られた情報だけです。一
方脳全体の機能は莫大で、その機能は哺乳類脳であるDMN(デフォルモード)と小
脳なのです。

 つまり脳全体は、基本的には、人の脳でなく爬虫類脳と魚類脳時代からある小脳機
能が司っているのです。

 その小脳は、近年の研究から、小脳は不安・恐怖などの情動や、認知といった高次
脳機能にも関与していることが知られています。 また、小脳神経回路の異常は、自
閉症などヒトの精神疾患にも関係していると考えられています。

 1998年に、SchmahmannとShermanは、小脳性認知、情動症候群(CCAS:Cerebellar
cognitive affective syndrome)とし、小脳による4つの高次機能障害(遂行機能障
害、空間認知障害、言語障害、人格障害)を提唱しています。

 脳の機能は、言葉による症状でなく、運動や素振り、雰囲気などの非言語的活動に
よって営まれている。それを言語症状だけで、診断、治療していくのは、脳機能の一
部だけを取り出しているだけだと言えると思います。

=====以上田中先生より。以下浅見

そういえば座波さんはいつも「浅見さんの無意識が賢い」と言ってくださいますが、それには小脳が関係あるのかもしれません。
医学生としてお勉強する小脳機能としてとしては前庭感覚や運動機能だとすると、「立ち位置の確認と動き方の決定」みたいなところとリンクしているかもしれません。とそんなことが思い浮かびました。

返信する
座波淳

田中先生、浅見さん

ありがとうございました。

小脳は外付けハードディスクのようなイメージで理解していましたが、爬虫類脳はもちろん魚類脳時代から関わっているというお話をいただき、改めて系統発達的順位で考える部位ではないと考えました。

したがって、爬虫類脳や魚類脳の反応・反射レベルの影響はもちろんですが、人脳であっても自立と自律の課題が積み残しの段階であれば、またその段階での情動の影響を受けるのであれば、不適切な機能の仕方に結びつくのも当たり前だなと確認できました。

頭でっかちの弊害は小脳の機能で捉えるとより全体像が明確になりうるとも閃きましたし、これまで実践してきたアプローチの理論的背景がより明確になり、それによって新たなアプローチにもつながることが期待されますし、自分自身楽しみにもなりました。

引き続き、無意識からの浮き沈みを見守りながら、実践現場での試行錯誤につなげていきたいと考えています。

返信する
座波淳

読了後、あれこれ浮かんでは沈んでを繰り返していますが、小脳の働き、関わりについてこれまで以上に興味が湧いています。

というのも、いわゆる「エビデンスを出せ」は学習された単なる防衛反射、言語的な意味を伴わない反射的動作と個人的には考えていますが、そこには小脳が大きく関わっているのではないかと考え、小脳の働きについて注目してきたからです。

興味を頭の片隅に置いておくと、必要な情報は集まってくると思いますので、今後の展開を自分自身楽しみにしているといった状況ですが、小脳の働き、関わりについて田中先生をはじめみなさんのご見解を聞かせていただけると幸いです。

返信する
浅見淳子

座波さん

ありがとうございます。
田中先生におききしておきます。
そういえば神田橋先生が、発達障害の人は小脳に邪気が見えるとかおっしゃってたことがありますね。
私も「エビデンス出せ」は防衛反射だとコロナ禍で腑に落ちました。
あのときの医クラは全くエビデンス無視でしたから。
同調圧力の言葉だったのだと思っています。

返信する
RIRINA

「発達障害 治療革命! 脳神経内科医からの提言」感想です。

これは、すごい本!
まさに「革命!」です。
届いたその日に読み終えて、泣きました。

著者の田中医師は、脳神経内科医という立場ということですが、脳神経内科というのは著書を紹介する浅見さんのブログで初めて知りました。
脳神経内科医の専門は、難病。その原因を追求して、その治療を探求するのが脳神経内科医の仕事…と知り、はっとしました。
私は、兄のように慕っていた叔父を神経繊維腫という難病で亡くしています。
約40年前、小学3年生の頃、将来は医師になって、叔父の病気を治す研究がしたいと作文に書いた私。残念ながら、思いっきり文系で医学部どころか理系の大学にさえ進学できなかったのですが、当時は夢のまた夢のような難病治療の研究がもう夢ではなくなってきているのかと嬉しくなりました。
知的障害であり、自閉スペクトラム症である息子を育てながら、従来の薬物療法一択のアプローチに疑問を持ち、花風社の本やセミナーで様々な知見を知るうちに、叔父の難病と息子の障害と共通点をみつけたように思います。
この本にに出てくる専門用語は、食事栄養療法等の本やSNS投稿等で見聞きしたことがあったものもありますが、いまいち理解できていませんでした。浅見さんの素朴な質問と田中医師からの回答というやりとりのおかげで難しい用語も、やっと「そういうことか!」と理解できました。
また、小暮画伯の挿絵や図もたいへんわかりやすいです。

息子の母としても、就労継続支援と生活介護の生活支援員としても、知りたいのは、「どうしたら、もっと心身を楽にしてあげられるのか?」という具体的なアプローチ方法です。
それにずっと答えてきてくれたのが花風社の本とセミナーであり、それが「医学的にも正しいことだったんだよ」と答え合わせをしてくれるようなのが「治療革命!」だと思いました。
特に、【ベスリの三角】はとても納得。「傾聴と共感」のカウンセリングを何十回しても、悩みは尽きず、心の病が治らない人は治らない…なぜなら、「心は治らない」からなのだ!と目から鱗。だから、体そして脳にアプローチする必要があるのか!と納得しました。
そして、長年知りたかった息子の障害の原因。それは、おそらくエピジェネティクス(遺伝子の情報の写しに異常がおこること)であることがわかりました。
これについても、見聞きしたことがあったのですが、よく理解していなくて、ピンと来なかったのです。
でも、本の中の「浅見ひとりごと」を読むことで、より理解が深まり、腑に落ちました。
「遺伝子の発現の異常を起こすものは胎児期・小児期の逆境体験」
これを受け入れ難く感じる親は多いでしょう。
私も、かつて内海聡医師のSNS発信で「障害児者の親は一生反省を」という文言を読んだとき、頭をハンマーで殴られたようなショックを受けたことがありました。
「私がいったい何をしたと言うの?」怒りで泣きそうになりました。
でも、それがきっかけで、息子に障害があることの被害者として生きることから、(息子に障害をおわせた加害者かもしれない)当事者として息子の障害と向き合い、息子が少しでも生きやすくなるよう原因を探りアプローチ方法を探して行こうと生き方が変わったように思います。

2011年3月。
東日本大震災の日から2週間後に生まれた息子。
ラスト2週間の間に母である私が感じた不安やストレスは相当なものであったのは確かでした。
そして、それ以前に、幼少期から自分がずっと心身ともに健康とは言い難い状態でした。親ですら頼ることに躊躇して、セルフネグレクトみたいな生き方をしてきたのです。自分がいつか誰かの「お母さん」になるのだったら、自分の心も体も大事にしなくてはならないという視点が欠落していました。

今までも、愛甲さんや大久保さん、栗本さんや松島さん等、花風社の本やセミナーから学んできたことが様々な気づきにつながりました。まるで、その仕上げのように、田中医師による「胎児期や小児期の逆境体験が原因」、さらに原因にアプローチすれば治るという言葉により、息子をもっと生きやすくしてあげられると、希望の光がよりはっきりと見えて来ました。

最近、親しい人がコロナ禍を経て、不眠症から鬱になってしまいました。親しい人も、元は精神薬に対して否定的な立場で、薬膳を勉強したり、自然療法も利用していたりしたのに、結局は精神薬に頼らざるを得なくなってしまいました。
これについても、田中医師のこれまでの実践を知ることで、「大丈夫!良くなる可能性がある」と思うことができました。

精神障害についても発達障害についても、まだまだ精神薬による治療一択で「治らない」と言われ続けていますが…それこそ、世界からずいぶん遅れてしまっていることも知ることができました。
世界では様々な治療方法が存在しているのですから、「治らない」と絶望する必要なんてなかったのです。

叔父が抱えていた難病、息子の障害、私の無意識下のトラウマ、そして親しい人の鬱。
悲しみや苦しみとしか感じられなかったようなことが、「発達障害 治療革命!」により、治ることがスタンダードになる未来が見えてきました。
革命、そして希望の書。
必見です!

返信する
浅見淳子

RIRINAさん

レビューをありがとうございます。
本当に革命的な本で、しかも勇気づけられる方が多いですね。
逆境体験、については「親のせいではない」。
これは田中先生も愛甲さんと一致していらっしゃいます。
それはまた記事にしますね。

返信する
浅見淳子

さて、『発達障害治療革命! 脳神経内科医からの提言』を読んでの智ママさんの感想及び著者田中先生への質問&先生からのお答え、をご紹介します。

智ママさんの読後感想はこちら。

https://naosouhattatushogai.com/all/conference-room/1192/comment-page-1/#comment-11605

智ママさんから田中先生への質問はこちら。

https://naosouhattatushogai.com/all/conference-room/1192/comment-page-1/#comment-11606

=====田中先生より=====

>『息子に十分な刺激と遺伝子発現に必要な材料が揃ったから、発達が促された』と
見ても差し支えないでしょうか。

>もしそうだとしたら、これまでの花風社の本で書かれていたことを実行していた
ら、いつの間にか発達が治っていた。ということが確実となるのですが、本当のとこ
ろはどうなのでしょうか。

*********

 メチル化の考え方など科学、化学の知識が豊富なこと、驚いています。そんな方の
質問に、答えられるか不安ですが・・

 遺伝子には変化ないが、遺伝子による蛋白合成などの発現異常を起こすことを、エピジェティックと呼びます。

 私は遺伝子の専門家でないし、かつエピジェティックは一般的な臨床医が知らない、理解していない最新医学トピックです。これから研究が進む領域です。

 私達が考えるより非常に大きな概念で、太る体質、太らない体質、その体質転換、高脂血症薬、降圧薬の作用さえもその範疇に入ってしまう大きな概念なんですね。

 ただ後天的に変化したのであれば、後天的に変化させることが理論的には考えられます。またエピジェネティックな変化を後天的に起こすことができるということは分かっていますが、特定のターゲットを目指した後天的変化が可能かは不明です。
 
 そもそも反応、変化は、何もエネルギー与えないとエントロピーの拡大に向かう。
それを戻すには、エネルギーが必要であると考えます。(プリコジンの散逸構造論の例外的要素もありますが)

 だから、日々のお母様の努力(エネルギー充填)が、結果的に好ましいエピジェネ
ティックな変化を起こし続けることが出来て、一定量を超えた時、表に現れる形とな
るはずです。

>いつの間にか発達が治っていた
治るという概念の定義が必要ですが、本人と家族、そして治療者の共通目標に向けて
活動が、社会的課題を一つづつ改善していくと思います。

 答えになっているか不明ですが、私も一緒に勉強してきます。
宜しくお願いします。

 ベスリクリニック 田中

=====以下、浅見より

暑かった2023年の夏、私はこの本を作るために頑張っていたわけです。理系の人だったらこんなに苦労しないな~と思っていました。そしてリケジョの智ママさんはあっという間に読んでしまったらしい(笑)。理解力があるせいか、子育てだけではなく多方面にお役立ていただけるようで何よりです。

田中先生は「なるべく専門用語を使わないで、皆さんにわかってもらいやすい本を」と言いながら、どんどんどんどん講義が専門的になっていきます。でもまあ、エピジェネティックの話は、黒田先生の本とか、そういうのを読んでうっすら概念は知っていたので、興味を持ちました。そしてエピジェネティクスが起きるメカニズムの一つに「メチル化」っていうのが出てきたとき、私のノリはこんな感じ。

浅見「先生、メチル化ってなんですか」
田中「鈍くなるんだ」
浅見「ふ~ん」←なんとなくわかったようなつもり

智ママさんの場合には脱メチルを試験管の中でやったりした経験があり、そのときに使った物質を子どもの体内で使うのは無理なんだけど、智くんにやってきた様々な栄養療法(タンパク質と補酵素)や身体アプローチ「ゆらゆらやすりすり」やちょこさんちと同じ〇〇心活動(散歩やパパとの鉄活など)がメチル化された遺伝子を発現の方向に戻すのではないかという仮説を立てたわけですね。

私はこのやりとりを見て神田橋先生の「親程度にはなる」というのを思い出しました。かなり知的障害の重い方がいらっしゃっても神田橋先生は「親程度にはなる」っておっしゃるんですよね。それで「親は成長して結婚して子ども作ってる。その程度にはなる」っておっしゃるんですよ。

これってメチル化された遺伝子の脱メチルみたいなことおっしゃっていたのかな、と思いました。

知的障害のないご両親が成長し結婚し子どもをもうけるまでに至ったのは、知的障害がなかったからという可能性が高い。社会生活が制限されていなかったから出会えて結婚したということ。だからその遺伝子は持っているはず、って神田橋先生はおっしゃっていたのかな、と思いました。

まあ現実的に知的障害の人が知的障害でなくなるのはレアかもしれませんが、ここにいらっしゃる皆さんならご存じのとおりよくなっている人もいるわけです。

一方で脱メチルで標的症状を狙えるかどうかは別なので、知的障害はなくならなくても別方面で生きやすくなっている人もいますね。知的なインデックスは行政で使われやすいけど、それだけで人間の能力は測れないので。

この「脱メチル」っていうのが今回得たキーワードかなと思います。
皆さんがやろうとしているのは脱メチルみたいです。
つまり何かを付け足す、というより「本当は持っているけれど抑え込まれているものを出現させる」。
これは大久保さん@てらっこ塾が最近強調される「何をしないかが大事」にも通じるかもしれません。足し算の療育より引き算の子育てですね。

それと「治る」の定義について。

私がなぜ「治る」という言葉を好んで使うのか。それは著書『発達障害、治るが勝ち!』に書いておきました。読んだ方ならおわかりのとおり、私が非難を浴びながらあえて「治る」という言葉を使う理由は三つあります。

よく治らない派の人たちに涙目で「どうして改善じゃだめなの! どうして浅見はよりによって治るという言葉を使うの!」と訴えられるわけですが、私はきちんと意識的にあえて「治る」という言葉を使ってきたわけです。

涙目派の言い分によると、「病気のように最初は健康体で、健康を失い、元に戻るのが治ると言うことなので障害に治るという言葉はふさわしくない」そうです。

でも神田橋先生は「治る病気はないのよ」とかおっしゃいます。たとえば風邪を引いたら免疫系がそれに対抗しその風邪を引く前の免疫系とは違うわけです。たぶん私などは小さいころからそれを繰り返してきたからこの三年半未接種完全ノーマスクで未感染なんだと自分では思っています。

だから「元に戻る」ことが治ると考えると、風邪も治らないということになってしまいます。

一方で発達障害が遺伝子の異常ではなく遺伝子の発現異常と考えると、「本当は持っているけれども発現していない遺伝子が発現するようになる」っていうことが「治る」につながるかもしれず

愛甲さんが受けた印象「智くんは賢い」はそういうことなのかもしれないです。

まあ、みんな弱いところと強いところがあります。ともかく生体は生きるようにできているので、生きるのに必要なところが治っていく気がします。

新刊、Amazonはこちらからどうぞ。

https://amazon.co.jp/dp/4909100202

花風社直販(ミニクリアファイルおまけつき)はこちらです。

https://www.kafusha.com/products/detail/59

浅見が「治る」という言葉を使い続ける理由が書いてある『発達障害、治るが勝ち!』はkindleもあります。

https://amazon.co.jp/dp/B07F2MJ8K2

この本の帯は
「治さない医療、伸ばさない療育、アリバイ的特別支援教育に飼い殺しの成人支援」

とか思い切りギョーカイの悪口になっていますが、やっと医療側から「完治を目指す」という動きがでてきたので、どうぞ『発達障害治療革命!』を応援してくださいね!

返信する
シア

本を読み返しています。

偏桃体のところを読んで、様々な精神病の原因になっているのとことでした。
それを裏付けるものを探したところ、「過覚醒」症状なるものがあるそうです。
PTSDが発症すると、「過覚醒」が生じますが、それによって不安定な状態が続きますが、偏桃体の過活動とはこのような過覚醒のメカニズムに組み込まれています。

では、偏桃体の過活動を伴う過覚醒の症状を治すにはどうしたらいいか。
過覚醒症状は明らかに交感神経系(アドレナリン系)の過剰興奮である。
https://www.ncnp.go.jp/nimh/behavior/phn/trauma_guideline.pdf

↑ここまで言い切っているので、ほかの情報も参照しましたが、副交感神経が過剰に働いていると言うのが全体像のようです。

PTSD・トラウマの治療を行う必要がありますが、それに有効な方法が「副交感神経の機能回復」です。
副交感神経の働きを取り戻せば、過覚醒は収まり、偏桃体の過活動も収まっていきます。
副交感神経を取り戻す方法はたくさんありますよね。

返信する
浅見淳子

シアさん

ありがとうございます。

>副交感神経が過剰に働いている
ここは交感神経ですね。
たんなる誤字なのですが、大事なところなので訂正しておきます。

そして副交感神経の機能回復と考えると、ゆらゆらする金魚体操とか、風船ワークとか、そういうのが有効なのは当たり前ですね。

ともかく「扁桃体症候群」は、発達障害の人の状態像に当てはまりましたわ。
だからぴんときました。

返信する

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


画像アップロード(PNG, JPG, JPEG)