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私が愛読する花風社の本

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ブルー

<人間脳の根っこを育てる :栗本啓司 著> 

私はこの本を通しで2回読みましたが、本全体がマーカーでカラフルになっています。自分にとって納得のいく記述が続くためです。特にこの本の人間観に共感できました。

栗本さんはこの本の中で「支援者は当事者を客体化しすぎていたのではないか」という趣旨のことを言っています。つまり当事者を定型の人とは違う珍妙な生き物として見ていなかったかと。

■当事者理解で重要な点

当事者の特性は見慣れないと不思議です。しかし当事者を理解するには「生き物としてのヒト」に立ち戻って考え、そこから個々の理解を立ち上げ直すプロセスが必要だと思います。

世の中に良くある、定型発達のヒトを理解することを前提にした人間観やツールでは当事者を捉えることができません。だからといって当事者を定型とは別の生き物とみなすとますます分からなくなります。

当事者のことが分からなくなると、特に発達の凹に対して対策ツールが出せません。だから治らない、となります。

当事者の私が個人的に感じるのは治らないのではなく、適用するパラダイムが適切ではないということです。だからツールが出せないだけだと思うのですが。

ではどうするか。

■当事者理解を立ち上げなおす

それにはまず「生きものとしてのヒト」という観点から、もう一度当事者理解を立ち上げなおすことだと思います。

このプロセスで使用する学問のうち中心になるものは、西洋医学(含精神医学)や心理学ではありません。これらは当事者を理解するパラダイムとしては不向きです。

学問という観点から当事者理解の軸になるものを挙げると、私自身は基礎医学的な分野が土台になると思っています。

つまり解剖学、生理学、生化学、及び生物学や、発生学及び進化に関する知識です。場合によっては人類学もです。

そういう意味でこの本では栗本さんが日常の仕事の基本としている生理学の観点を踏まえ、発生学や進化の知識も使ってヒトの発生と発達を俯瞰します。

そして当事者にどのようなアプローチをしていけば良いかを考えていきます。

またこの本は、灰谷さんの「人間脳を育てる」から比較的日が浅い段階で製作されているせいか、発達のヌケを埋めるということがかなり重視されている印象があります。つまり書籍のコンセプトが似ています。

ヌケを埋めるためのプロセスを進化や発生の考え方で、大きい視座から捉えなおしているというわけです。

■未来的人間観

現代においては様々な学問をもう一度進化のパラダイムで見直すということがトレンドになっています。

それは「進化ナントカ学」がいろいろと登場してきたことが良く表しています。ネットを検索するといろいろ出てきます。

進化心理学、進化教育学、進化ナントカ学・・・。あるいは、文明や知識そのものなど非生物も進化のパラダイムで見直してみるトレンドもあるようです。

進化のパラダイムはカッコいい数式やモデルにこそあまりならないようですが、それで現状の人類や文明を記述してみるとなかなか面白い世界が見えてくるので、いつの間にか学問の世界のトレンドになったようなのです。

またある学者さんなどは、「21世紀の科学は進化のパラダイムで統合されるだろう」とまで言っていました。

つまりこの本もまた現代のトレンドに沿った書籍であると思います。進化のパラダイムに基づく未来的な人間観を提示しているということです。

この本を読むと、それが発達障害の人に対しては有効なパラダイムの一つであることが分かります。

■具体的方法論

もちろん、この本には様々な具体的方法論もいろいろ載っています。

読者として私が助かったのは、「自分の発達のヌケは、それぞれどの段階のものか」とあたりをつけることができることです。そのため取り組みの順番を進化や発達の順序にしたがって組み立てることができました。

当事者としてはこれで希望が生まれます。

■あとがきについて

この本のもう一つの注目ポイントとして浅見さんによるあとがきがあります。ここには花風社が発達障害と向き合ってきた歴史が記されています。

このあとがきを読むと、花風社が発達障害に対して基本的にどのような捉え方をしているかということも分かります。

つまりあとがきが最も包括的な視座で書かれているので、この本はあとがきを先に読んでから本編を読んでも特に問題はないと思います。

■基本書としてオススメです

個人的にこの本は現状の花風社の基本理論を担っていると思っています。

そういう意味で

「花風社さんは『治る/治らない』でいろいろ言われているけど、論争はさておき実際にどのような理論とソリューションを持っているの?」

と思っている方は、この本から読むといいと思います。

そうやって一次情報で判断しようとする人ならこの本を必ず使いこなせます。花風社の本はそういう人が実践のガイドブックとして「使いこなす」ために書かれているのです。

その意味でこの本は基本書としてオススメです。

■おまけ:

この本もまた、ネットで書評を上げている方がいます。

<なかじまなび塾>
この場で速読して本紹介 
その25「人間脳の根っこを育てる」栗本啓司 著

https://www.youtube.com/watch?v=TwFXPLM7Eyo

動画によると、この人も療育をなさるそうです。つまりこの方はクラスタの方でもなくアンチでもなく、Twitterや5chで外野から文句を言っている人でもありません。中立な立場で花風社本を使いこなしたい人なので参考になります。

よろしかったらご覧ください。

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