「発達障害は一生治らない」と決めつけず、試行錯誤する仲間の交流サイトです。ご自由にご活用ください!

支援級出身ということに偏見を持たれないための戦略

さて、たらこさんのおうちの「完治」というエピソードを取り上げたブログ記事「完治し、さらに成長する」にいただいた味噌ぴさんのコメントがまた示唆に富んでいます。

たらこさんのおうちも、実を言うと決して軽くはなかった。
それでもあえて普通級を選んだのは、地域の先輩お母様である味噌ぴさんが「離席と他害がなければ普通級で」とアドバイスしてくださったことを肝に銘じていたからとのこと。

そして味噌ぴさんのおうちは知的障害があったにもかかわらず、小学校は普通級に学んだということ。

それに対して私が「なぜですか?」ときいたらていねいなお返事をくださったのです。

全文引用させていただきます。
後輩親御様がた、これは勉強になる先輩からのコメントです。

当時市内の特学(特別支援級ではなく特殊学級)を全て見学した私の目に映ったのは「教育」ではなく「託児」でした。22年前なのでさすがに今はたぶん教育だと思いますが。周りからの大反対の中で普通級に通わせた6年間、困難が無かったと言えば嘘になりますが、後悔はありませんでした。中学を支援級にしたのも正解だったと思いますが、支援級に進んだゆえの困難さはありました。
長男に関して言えば特別支援級の弊害は「誤学習」と「本人の卑屈」でした。ちなみに本人の卑屈を嘆いた私に周りの支援者は、小学校を普通級に入れたあなたの誤りだと責めましたが、そこは全然平気でした(笑)。

私が周りに「離席と他害がなければ普通級に」と主張したのは、この経緯からです。教師の伸ばす視点が、普通級と支援級では明らかに違う事、そして支援級の教師は「障害児→障害者」という道程しか見ていないという事です。
彼らは周りから学びます。普通級でもし悪いことを学んだ時は親が正せば良いだけなんです。けれど支援級での学びは社会の中で自分たちは許される存在だと学びます。曰く、毎日遅刻しても、自分の役割をサボっても、周りに暴力をふるっても、障害があるから仕方がないよ、許してあげようと。
ここを正すのは難しいです。A君は許されてどうして僕はダメなの?となります。
長男の場合は知的障害もあるためおそらく普通級に居た6年の下地がなければここを理解させるのは無理だったと思っています。
長男は入学前の1年、(転園し)適切な教育をする幼稚園で大きく伸びました。就学には5歳から6歳の伸び幅を見極める事も大切だと思います。

余談ですが10歳当時初めて某有名支援者に会った際のエピソード、長男を支援級に移すべきかの判断がとても面白かったので紹介を。支援者は“はじめまして○○です”と名乗って長男に握手の手を差し出しました。その一瞬で私に「このまま普通級に。そして中学は支援級に」と言いました。理由は差し出された手に直ぐ彼も手を差し出し握ろうとした事での社会性は普通級相当、けれど残念ながら述べた手が左右逆だったので中学は無理、と言うものでした。
長くなりました。ご参考までに。

支援級でどういう先生に当たるかは本当に運次第なところがあるようですが、運が悪いと「障害児→障害者」のコースしか想定されない。そしてそのコースしか想定されないと、実は障害者コースに歩んだとしても困難が待ち受けているのですよね(結局居場所に苦労する問題とか)。味噌ぴさんのところはそれを見抜いていた。そしてご子息は専門学校卒の学歴を達成し、卒後一度も職業生活が途切れず今はフルタイム雇用で働き扶養を離れたわけです。

それにしても味噌ぴさんが以前から「誤学習はひとつひとつ正した」とおっしゃっていて、味噌ぴさんのご子息はそんな誤学習てんこもりの感じはしなかったので、どんな誤学習をしていらしたのかと不思議だったのですが、こういうことだったのですね。支援級にいると普通の社会ではやってはいけないことをやっても許される子たちがいる。その子たちと同じ事をしても味噌ぴ家の方針ではNGである。なぜNGかをひとつひとつ説明する。それには普通級に身を置いていたことが役に立つ。そういう理解でいいのでしょうかね?

実は私も特別支援教育が始まった当時は、「特別に支援してもらえるのだから支援級の方がいい」と素朴に信じていたのです。その考えが変わったのには、いくつか理由があります。それは『発達障害、治るが勝ち!』に詳しく書きましたけど、どうしても消化試合としての人生を用意されてしまうような雰囲気なんですよね。もちろん先生によるし学校によるわけですが。

それと、スティグマが消えない。『NEURO』

に書いた通り私の理想は「昔発達障害だったよ、でも治った」と言ってたくさんの元発達障害児が活躍する社会なんですけど、「発達障害は一生治らない」という啓発のせいで、社会の方でスイッチが効かない。だったらなるべく普通級に近いところにいた方がいいのではないかと思うようになりました。

でもスティグマを消す方法はあって、それは「発達障害は治るんだよ」って伝えていくことですね。それが支援級出身の人が社会で偏見を持たれない最強の方法だと思っています。
だから私は「発達障害は治る」って言い続けています。

そしてたらこさんのおうちのエピソードなどがそれを補強してくれていますね。
たらこさんのご子息は長い人生の最初の十年間余り障害児だっただけ。
それだけの話。
そういう人が増えるといいですね。

そして味噌ぴさんがご自分の体験を踏まえ「離席と他害がなければ普通級へ」と言い続けたことは、先進地域()のギョーカイの不興を買ったかもしれませんが、一人のお母様の心には届き、

おそらくたらこさんのことだからそれを目標に子育てされ

今花開いたわけです。
味噌ぴさんのアドバイスをスルーした人、快く思わなかった人もたくさんいることでしょう。
そしてその人たちは味噌ぴさんのご子息よりずっと軽かったけど、作業所のバスに揺られているかもしれない。

それはそれでいいんです。
それぞれの選んだ人生ですからね。

それと、味噌ぴさんのこの言葉

長男は入学前の1年、(転園し)適切な教育をする幼稚園で大きく伸びました。就学には5歳から6歳の伸び幅を見極める事も大切だと思います。

花風社クラスタのSNSにはこの就学前の伸びを裏付けるお話があふれている感じですね。
また皆様の治った自慢をお待ちしています。

2 COMMENTS

yasu

よくわかります。支援もスペクトラムなところがあって、通級でも無理をさせないとか、宿題の量を減らすことが提案されます。それが必要かはもちろん個別に判断する話ですが、注意が必要であることは確かですね。

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浅見淳子

yasuさん
支援もスペクトラム、その通りですね。そして最後は各家庭の主体性。あの時代に、あの地域で、それを貫かれた味噌ぴさんのすごさ。そしてそれがきちんと次の時代に受け継がれているのが素晴らしいなあと思いました。つまりここに集うみなさんの治る姿がまた次の時代に受け継がれるということですね。

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