「発達障害は一生治らない」と決めつけず、試行錯誤する仲間の交流サイトです。ご自由にご活用ください!

『発達障害でも働けますか?』 大阪講演ご報告 その3

東に帰る朝。
私は昔ながらの喫茶店に入り、ゆっくりと珈琲を飲んでいたら、予約した列車の時間が近づいてきました。

赤福と蓬莱の焼売を買います。
来たときは崎陽軒のシウマイをたくさん持っていました。お土産くださる方へのお返し。でもあっという間に尽きてしまい、全員にお返しすることができませんでした。申し訳ありません。

珈琲を飲む間も、お土産を買う間もずっと「花風社はすごい。私はすごいものを作ってしまった」と思っていました。
会場に集まり前から席を埋めていく多くの人々。
「学ぼう」という雰囲気。希望に満ちあふれた顔・顔・顔。
その人たちが望むこと「発達障害を治したい。発達障害でも働きたい」に答える知見が15年間で集まったこと。
その知見が本になって、版を重ねていること。
今また座波さんが、働く人のメンタルヘルスをメンテナンスするという立場から、『発達障害でも働けますか?』という本を書き、花風社の知見の具体的な使い方を教えてくれたこと。

これがすべて、『自閉っ子、こういう風にできてます!』出版時から私が当初抱いていた
「この二人をラクにしたい」という気持ちから欲したものであることに、私は戦慄を覚えました。

人の抱く問題意識はムーブメントを起こすことができる。
それを私はやってしまったんだなあ。

講演会当日は、成人式。
新幹線で西に向かう途中、美しい晴れ着姿のお嬢さん、りりしい袴姿の青年の写真が
それぞれ親御さんから送られてきました。
かつて診断された人たち。
今はお二人とも健常者として大学生活を送っている。
「ここまで育ちました」という感謝の心がこもったメッセージと写真。
うれしかったです。

そして昨日いただいた数々のお土産。
ラッキーなことに行きも帰りも隣は空席。
行きには崎陽軒のシウマイを置いていた隣席に今度は皆さんからのお土産を置きました。

列車が動き出します。
私は藤家さんが初めて上京したときのことを思い出しました。
あの頃藤家さんは、自分が乗った飛行機は落ちると思っていた。そう、「ありえない恐怖感」ですね。
そして新幹線にも穴が空く気がしたけど、まだ新幹線の方が地上を走っている分だけ安全な気がして新幹線でやってきた。
生まれて初めての関東。原稿を持ち込んで、私に会うために。
あのときの「ありえない恐怖感」はもう、藤家さんの中に全くありません。治ったのです。

のちに知ったことですが、藤家さんは乖離していた時期があるためでしょうか。なんかものすごく基本的なことを知らなかった。
初めて新幹線に乗る藤家さんはご家族に「富士山見られるといいね」と言われたらしい。「名古屋過ぎたらよく見てなさい」とか言われたらしい。そして名古屋過ぎから藤家さんは「あれが富士山? これが富士山?」と様々な山の連なりを撮っていたそうなのです。当時のガラケーで。

でも富士山は「あれがそうだろうか?」なんていう山ではありません。他の山を富士山と間違えることはできない。

富士山ではない山の連なりを見て、私が思い出していたのは、弘法大師。
山が修行の場だった。
それと「福沢山脈」という言葉です。
慶應義塾に集まった福澤門下の人脈からたくさんの近代産業が生まれたことを指します。

花風社は「治そう山脈」を作ってしまったと思いました。
リアル日本列島でも、北は大久保さんから、南は山城さんまで、脈々とつながっています。
そして栗本さんが方々に出かける(飛び道具)。
東北にこねプロがあって、関東にマスキュリンな座波さん、フェミニンな愛甲さんがいて、私がいて。女子会ができて。
大阪にさわやかな津田さんがいて。頼りになる廣木道心さんがいて、そして九州には「どこでも治そう」を作ってくれたお姉さんずがいて。っていうか神田橋先生もいるけど、山脈っていうより富士山かな。
そして日本中のあちこちにいる「治りたい」「治った」人たちがネットでつながって。
本を読んで、実践して、治って、そして喜ぶ。
時々はこうしてリアルで集まる。
学び、笑い、語り合い、食べ、呑む。
どっとこむを見てその動きを知った人たちが、新規に花風社クラスタ入り。
今度の横浜の講座にも来てくれる。
自分が治ったことだけではなく、他人が治ったことも喜ぶ花風社クラスタ。
この一大ムーブメント。
それを私は作ってしまったんだなあ、と思いました。

最初はニキさん、藤家さんの抱える四つの不便さをどうにかできないかと思った。
『NEURO』の冒頭漫画に出てくるあの四つ。

それから迷惑当事者と無力無能なギョーカイに直面し、迷惑当事者は治さなきゃいけないし、ギョーカイには身を委ねていたらだめなことを知った。
知ったからはっきりと世の中に伝えた。

その都度その都度問題意識を持ち、それに応えてくれる著者と本を作ってきた。
それを実践して治っていく人たち。
成人式の日には晴れ姿を送っていただく。講演会に行けばお土産がたくさん。
それはみんな、この「治そう」というムーブメントに感謝してくださっているからなのだ。

すごいものを作った、と思いながら帰ってきました。
昨日着ていた服をハンガーにかけます。
ほんのり串カツの匂い。なつかしい大阪。

それから半日仕事をしました。
夫、帰宅。
ディナーの一品はもちろん、蓬莱の焼売。
おいしいじゃん、これ。崎陽軒の特製シウマイにも負けない。
そういえばいつもこよりさんに崎陽軒の特製シウマイ持って帰っていただくと、ご家族に好評とのこと。「冷蔵庫入れれば次の日まで持ちますもんね」といったら「い~や、遅く持ち帰ってもその場でなくなります」とのこと。ご家族も楽しみにしてくださっている。そして瞬時になくなる。
さすが。それがバリバリと働く男たち。消化能力も万全ですね。
だんな様、凸凹だったお子二人。働く男たちに守られて、28年間介護生活をしパートをし凸凹子育てしていたこよりさんは今悠々自適の生活をしています。

夫に言いました。
「すごいわ花風社。すごいもの作っちゃったわ私」
「知ってる。花風社は本当に素晴らしい仕事をしている。こんなに感謝されている仕事はない」

でも、感謝されようと思って始めたのではないのです。
ニキさん、藤家さんが優秀な人たちなのに身体が不便そうなのでそれをどうにかしたかった。
そして迷惑当事者に会った。自閉症の特性故に社会に迷惑をかける彼らにはその迷惑なところを治してほしかった。迷惑当事者というのはどういう人たちかを私は大阪でかなりはっきり定義しましたね。あそこが治らないと、社会に受け入れられるわけがない。
迷惑当事者に対して無力無能な支援者たちを見て、この人たちに頼っていてはいけないと思った。彼らはとうてい、社会との架け橋になどなれないだろうと思った。

多くのクラスタの方が、花風社の本を読み、実践したあと、「こんなにあっさりと治る方法があるのならみんなに知ってほしい」と言います。
私はそうは思っていません。治りたくない人は治らなくていいと思っています。
治りたくない人は、私に関係のない人です。
そして座波さんの言うとおり、自分の提供するサービスを買う人に選択と集中をするのが民間人なのです。

こうやって赤本以降、一生懸命仕事をした結果、たくさんの人が幸せになったけど
私も幸せになったのです。

私が親から与えられたのは無条件の愛。
結婚してから学んだことは「お互いに欠点を知りつつも人と人はこれほど手を取り合って一緒に歩んでいけるものなのだ」という安心感。
そして仕事を通じて学んだことは、「世の中のニーズに応えていれば、仕事人としてサバイバルしていける」というシンプルな事実。

これだけなんです。
これだけ。社会でのサバイバルの原則は。
私にとって、社会は怖い場所じゃない。
だから私はあまり恐れるものがない。
土台に安心感があるからです。
最初は親に与えられ、大人になってから人との関わりの中で育んできた安心感が。
それを持っていない人は、私に関しての想像をことごとく外す。

土台に安心感がある人は、花風社が何をやっているか理解できる。
座波さんは元々、私ほど安心感がある環境には育たなかった。
でもそんなものは乗り越えたときっぱり言ってましたね。
だから座波さんは皆さんが「あんな健康な心理士さんは見たことがない」という印象を抱かざるを得ない方なのです。

愛甲さんも多くを乗り越えてきた。
だからこそ愛甲さんは新刊の付録エッセイの中で
「発達障害は治りますか? ときかれたら治ると即答する」と言っています。

自分の愛着の問題を乗り越えてきた支援者じゃないと治せないのです。
薬のみながらようやく健康を保っているような心理士では治せないのです。
そして自分の課題を乗り越えてきた支援者の人たちが支持してくれているのが花風社なのです。浅見の赤心であり、浅見の無意識なのです。

っていったらまたアンチがわくのでしょうが

「こんなことをしたら・言ったら他人にどう思われるか?」とかを判断基準にしているうちはまだ愛着の問題を抱えているんだと思います。
『愛着障害は治りますか?』のP52のピラミッドを見てください。

あの発達課題をやり遂げていないからこそ他人の目が口が気になる。
そして「他人の目や口」を脅し道具にして、私の信念を変えようとする人もいる。
そんなもので変わるわけがない、と土台の不安定な人にはわからないかもしれませんね。

「他人」も多様。
どの他人にコミットするか。それはもちろん、「信念の合う他人」でしょう。
信念の合わない他人のために仕事をする人も世の中にはいますね。
たいてい健康問題を抱えているのではないでしょうか。
信念の合う人たちのために一生懸命仕事をしていれば、仕事人としてサバイバルしていけるのです。
仕事人としてサバイバルしつつ、健康を崩さないこと。
これが座波さんのテーマです。
そして私はそれを三十年以上続けています。

座波さんは仕事は他者評価で決まる、と繰り返しおっしゃっています。書いています。
仕事とは、自分のためにするものではないのです。
他人のためにするものなのです。
このシンプルな大原則を教えない就労支援に実効性はない。

花風社は、ずっと前からの読者の座波さんを著者にすることで
もっとも花風社らしい就労支援の本を作れました。
それが『発達障害でも働けますか?』です。
そして座波さんが教えてくれたことは、私の中にも生きています。
それはまた、別の機会に。

大阪講演にあたり
お越しくださった皆様
主催の津田政志さん
講師の座波淳さん
ありがとうございました。

本作り以来久しぶりに廣木道心さんとお話できたのも楽しいことでした。
廣木さんのアンケート見ました。
職業人として、父として、しっかり聴いてくださっていたなあ、と思いました。

最北からきてくれたみるさん。
最南からきてくれた山城さん。
遠くからありがとうございました。
おふたりの姿にも思うところがありました。
盛岡で感じた感動が、良質のフラッシュバックを私の中に起こしました。
それは「番外編」としてgoo blogに書こうと思います。

廣木さんが津田ご夫妻に結婚式に撮った写真を動画にして贈っていました。
感動的なものでした。
当講演企画から当日までの間に、津田さんはご結婚されたのです。
お二人の門出からさほど日が経たないうちに開かれたこの会。
思い出深い共同作業になることを祈ります。

明るい未来をお二人で築いていかれますように。

6 COMMENTS

座波

この場をお借りして、大阪講演にご参加下さったみなさん、近場のみならず遠方からもお越しいただき、本当にありがとうございました。今後の実践、展開にお役立ていただけたら幸いです。

また、主催者の津田さん、講師の浅見さん、このような機会をいただきまた新しい経験をさせていただきました。今後の仕事に役立てていきたいと思います。ありがとうございました。

なお、すでに次のオファーもいただいております。
横浜、大阪での様子やアンケートなどを参考に、内容、プレゼン共にさらにブラッシュアップしたいと思います。

最後に、浅見さん、「花風社がすごい」って知りませんでしたか(笑)?
感謝されようと思ってなさっていないからこそだと思いますが、花風社の作ってきた一大ムーブメントってすごいですよ。専門家、支援者も含めた結果を出したい人たちの忖度なしの相互成長関係なんだと思っています。

みなさま、今後ともよろしくお願いします。

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みる

座波さん
みるです。アットマーク国際高校品川学習センター2年生です。その節は貴重なお話をご聴講いただくことができ誠に有難う御座いました。

座波さんのお話をお聴きする機会は2回目でしたがまだまだ自分は「治った」からはほど遠い人間であること、そして治った先輩方の後を今後も置い続け死ぬ気で今後も治していかなければならないという喝を入れていただけるきっかけとなりました。
自分は先輩方のような大人になるべく後を追います。
また前回の講座に参加して以降、座波さんの助言をもとに、栗本さんの練馬での成人当事者と親御さん対象の講座になるべく毎月参加するようにしています。自分もXiaさんやブルーさん、味噌ぴさんのお子様方ほか先輩方の後を追うべく頑張っております。それでも先輩方と比べるとまだまだですので今後も心に炎を燃やし気合いを入れて頑張ってまいります。

今回は本当にお忙しい所、お疲れさまで御座いました。
又の機会がありましたら是非また参加したいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。

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ふるーつなっつ

みるさん。
横から失礼します。
こよりさんの本を読んで、ありのままではないけれど、「トマトはトマトらしく」できたら良いのかなと考えています。以前私も他者と比較して、「まだまだだな」と落ち込んだり悩んだりしました。
私が昔みていた朝ドラ、ちりとてちんの名言にこんなものがあります。↓
『人間も箸と同じ。磨いで出てくるのは、この塗り重ねたものだけ。
一生懸命生きてさえいれば悩んだことも、落ち込んだことも、きれいな模様になって出てくる。自分のなりたいものになれる。』
※若狭塗りばし職人のおじいちゃんが言ったセリフ。若狭塗りばしは手作りでそれぞれが違うけれど美しいです。
治った自慢は希望ですし、目標を高く持つことは大切です。けれども、みるさんはみるさん自身の、他の人にはない素敵なところが沢山あります。今現在も目標に向けて一生懸命頑張っているので、「先輩方のように」と気負わず、比べて卑下せず、みるさんが経験を重ねていき、自分の納得できる良い色を出していければ良いのかなと思っています。

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座波

みるさん、目標が遥か彼方に感じられた時こそ、足元を見直して一歩ずつ歩みを進めることに意識を向けてみて下さいね。反射的な自己卑下は歩みを止めてしまいますから。
とりあえず、深く息を吐いて、身体を揺らして緩めてあげましょうかね。

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みる

座波さん
みるです。アットマーク国際高校品川学習センター2年生です。お返事いただけるとは思わず誠に有難う御座います。

自分はまだまだアンチと同レベルですのでアンチを批判することも治った自慢をすることもできる立場には御座いません。
今は先輩方の背中を追い続け、先輩方のようなら大人になれるように精進してまいります。

これからも栗本さんの講座になるべく毎月参加して家庭でも取り組んで参ろうと思います。お忙しい所、ご助言いただきまして誠に有難う御座います。

返信する
みる

みるです。アットマーク国際高校品川学習センター2年生です。

アンチと同レベルということについて補足させていただきます。
アンチの人たちは他人の不満と足を引っ張る事ばかり行い結果が出せておりません。
自分の場合は「他人の不満については」言っておりませんが、まだまだ結果が出せているとは言えないです。

というのもこの年齢であれば学校はすでに卒業し、昇格も経験しているからで、マナーや礼儀は『出来ていて【当たり前】』だからです。

自分はさらに上を目指さない事には治ったとは言えません。自分は遅れているので他の人より今後も死ぬ気で頑張らなければ行けません。

今後も先輩方の後を追うべく治し、絶対ほかの先輩方のような大人になります。

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