「発達障害は一生治らない」と決めつけず、試行錯誤する仲間の交流サイトです。ご自由にご活用ください!

診察室であまり聴けない医療情報

・どうやら治る人もいるらしい
・身体アプローチに効果があるらしい

等、発達援助を巡る新しい動きを伝える論文を紹介したり、医療との付き合い方を話し合うお部屋です。

264 COMMENTS

yasu

2020年2月15日に行われた、国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター(NCNP)主催の市民公開講座 「発達障害の最新の知見」の続編です。今回で最終回です。

演題4:「自閉スペクトラム症者へのロボットを用いた取り組み」
国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所 予防精神医学研究部 熊崎博一先生

熊崎先生は、精神科出身の児童精神科医とのこと。他の演者は小児科医であって、バックグラウンドが違うという話があった。児童精神科医の特徴を列挙され、その中に「医師が発達障害を抱えている」というくだりがありました(笑)

講演にあたって資料の配付はなく、全て映像による説明でした。様々なロボット(人間の外見をしているヒューマノイドのほか、姿形は人間とは似ても似つかないようなものまで、幅広く研究されているのはちょっと意外に思いました。私は発達障害へのロボットの活用についてはあまり興味が無く、生身の人間が対処するのがベストだと思っていたのですが、熊崎先生のアプローチは視点が違うんですね。ASDの人はメカに対して親和性がある(ASDだからAI好きといったことですね)ので、これを糸口にしてASDが抱える課題の解決ができないかという試みで、方向性として理解できて取り組む価値はあるように思いました。

ロボットと活用する上での利点として、下記のものが挙げられています。

1.シンプルは動き、メカニカルな動作で行動が予測しやすい
2.音声の調節が可能
3.相性の問題が無い
4.評価者のパフォーマンスが変わらない

色々な調査によると、相手に対して何か話をするとき、内容がネガティブであればあるほど生身の人間よりもロボットに相談したいと思うようです。ここで面白いのは、ロボットの後ろでは生身の人間が操作していて、それを相談者はわかっていてもこういう調査結果になるようで、これはインターフェースが重要だということですね。他にも臨床心理士にそっくり似せたヒューマノイドを作り、それで慣れてもらって本物のの臨床心理士との対面につなげていく試みとか、なかなか面白かったです。

対人交流の部分について、生身の人間が相手だと予測不可能な行動をされたときASDの人では対応できなくなるといった問題がありますが、この部分にロボットを活用するというのは、少なくともとっかかりとしてはアリかもしれません。また何らかの評価を経時的にやっていく場合に、生身の人間だとその都度パフォーマンスが変わってしまって評価結果にぶれが生じる可能性があるので、その部分も低減できるでしょう。ツールとして活用できる部分は大いに取り入れていけばよいと思いました。

今回のMCNPの講演会レポートはこれで終了です。講演1-3は私にとっては特に目新しい内容はなかったですが、今回ご紹介した講演4は新しい視点を提供頂き勉強になりました。

これは発達障害に限らず全てにおいて言えますが、研究者の話というのは、基本的には「自分の仕事」を紹介するスタイルです。なので教科書的な知識の取得を期待していると、えらく偏った話だと感じてしまう場合がありますので、その点は注意が必要です。逆に言えば、話の内容が教科書的なレベルに留まる場合は、その方は第一線で研究されていないと考えてほぼ間違いありません。研究者の話を聞く場合は、教科書レベルの話は予め自分で勉強しておいた上で臨んだ方がよいですね。

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浅見淳子

yasuさん、面白いご報告ありがとうございます。なるほど、研究者の発表を聴くときに気をつけるべきなのはそういうところなのですね。発達障害者支援法黎明期によくあった「金太郎飴講演」とこのご報告は、似たところと似ていないところがあり、最後のロボットは「なるほど」と思いました。

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yasu

2020年2月15日に行われた、国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター(NCNP)主催の市民公開講座 「発達障害の最新の知見」の続編です。

演題3:「自閉スペクトラム症」
国立精神・神経医療研究センター病院 小児神経科 中川栄二先生

ASDは神経バランスの悪さから生じるのでは?と思っている。神経の発達は9-10歳で成人脳と同じになるが、成長に伴い神経細胞の刈り込みが生じて余分な回路ができないようになっている。しかし自閉症では刈り込みが不十分なため過形成状態になっている。

ASDでは「忘れることができない」という問題を抱えることが多く、これがこだわりにつながる。

DMS-5では「障害」ではなくて「特性」で理解しようという概念が採用されている。つまりは、当事者が置かれた環境における程度問題であり、一回ついた診断が一生ついてまわるわけではない。

早期診断の重要性について、米国小児科学会(AAP)の自閉症ガイドラインが改訂されている。生後9ヶ月、18ヶ月、30ヶ月の乳幼児健診でASDのスクリーニングを実施すべき。介入が早いほどアウトカムが良好になる可能性が高まることが分かっている。言語療法や行動療法は(疑いがあれば)診断前から始めた方がよい

ASDの特徴が見られるのは、生後2ヶ月~2歳前後が最も多い。周囲にあまり興味を持たない、コミュニケーションを取るのが困難、強いこだわりがあるの3つに、睡眠の問題を抱えていることが多い。

特性であるので、治る治らないの判断は相応しくない。薬は一時的に使用しても、ゆくゆくは不要になるような対応を考える。ペアレントトレーニングではできるものを伸ばすこと。認知行動療法(CBT)は有効だが「こうなりたい」という気持ちが本人にないと難しい。年齢的には中3以降くらいから。薬物はあくまで補助的に使用。

ASDをはじめとした発達障害児はなかなか寝ないことが多く、睡眠コントロールは重要。神経発達症に伴う睡眠障害に対するメラトニンについて、2019年承認申請を行い、2020年秋には承認されて販売される見通し。

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yasu

話の流れでは、周囲への関心興味、コミニュケーション、こだわりの3つの改善という感じでした。それと平行して睡眠障害の改善。最初の3つは従来から言われていることで特に新しさは感じませんでしたけど、睡眠障害について大きく着目してたのが印象的でしたね。この部分に着目した研究をされている先生なのだろうと思います。

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XIA

おはようございます。
12時間に2回までの投稿なので、私が出てくるのは午前中はあと一回あるかないかですね。
NCNPのお話を聴いていて、物凄く目新しいことはないように見えますけど、「診断は一生常について回るわけではない。」とか、「お薬も一時的に使っても、ずっと使わなきゃと言うわけではない。」とか、そう言うところに着目するべきですね。
これを踏まえれば、特性とかもそうなんでしょうけど、「治る」が前提でお話が進んでいるのが理解できます。
本当に、最新の知見で、ギョーカイの考え方は、もう、厚労省に完全に否定されて、ひっくり返されたと言っていいでしょうね。
それから、私はNCNPでは、研究事業にも関わって、野心的で興味深い知見にたくさん関わってきました。
具体的な研究と言うのは、ネットを探してみても、ほとんど表に出てきてませんよね。
つまり、国も見えないところでいろいろ進めていて、ギョーカイの言っていることが本当なのかどうか、検討してきているんでしょう。
その結果、知見がどんどん出ているというわけでしょうね。
・感覚過敏も、「治る」ことが実験で確認された。
・睡眠障害も、「治る」ことが実験で確認されてます。
そのほか、いろんな先進的な方法で、治療実験(治験)が行われています。
それらは、想像するにそれらの手法を普及させるとか、そう言うことよりも、「発達障害が治る」と言う、その知見を得るために行われているのかもしれないと思った次第です。
かなり計画的、組織的、大規模に統計を取っているだろうし、エビデンスがどうとか言うならば、出せと言われれば、出せるものがたくさんあると思われます。
でも、本当に大事なことって言うのは、「発達障害が治る」…「診断は一生モノとは限らない。」とか、「お薬も必要なときに使うだけ。」とか、そう言うことをこのような市民講座でも、自信を持って言える・発表できるということですよね。
「発達障害は治る」…「治りますか?」の社長の出版活動や、NEURO。
それに回答が出てきているように思えるのです。

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yasu

XIAさん

診断が固定的でなかったり、薬は一時的な使用に留めて使用しないような生活を考えるというのは、ASDを特性として捉えようとする一環だと理解しています。これは治療を目的とした医療介入を意図していないと言えますね、原則として。

NCNPの演者の全てに共通する考え方は、困りの程度と内容は人それぞれで環境により影響を受ける、自分が置かれている環境で自他共に困っていないのであれば診断の必要は無いということだと理解しました。

ADHDでは小さいときには多動が目立ちますが、大きくなるにつれて多動は減って不注意が目立ってくるようになるといった、特性の変遷のようなものがあるにはあります。それに応じた支援のあり方や自己の管理といった話はもちろんありますが、支援ありきといった考え方をされている先生はいらっしゃらなかったように思いました。

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XIA

こんばんは。
yasuさんにもレスしたいので、ここにぶら下がります。
よろしくお願いいたします。
てんかん・パーキンソン病にも、治療の光明が見えてきました。
キーワードは、「治療の最適化」により完治を目指すということです。
この治療法そのものは、お薬を利用するアプローチではありません。
しかし、お薬を併用する場合もあるようです。
本日、埼玉医科大学名誉学長と、てんかん協会の会長・それから、てんかんを治した当事者の方二名のプロジェクトを見学しました。
成果物として提案されたのは、「日誌療法」と言うべきものです。
発作の回数とか、お薬の漸減状態とか、生活状態とかを、てんかん日誌に記入します。
こちらは長いですが、パーキンソン病の方は30日単位のようです。
お薬を飲んでいる状態からスタートする人もいるでしょう。
この記録日誌・ノートは専用のものがあり、これはもともとてんかんや、パーキンソン病の患者さんの治験をするにあたって、モニタリングのために記入されていたものがベースとなっているそうです。
記入を続けていくと、発作のパターンや、症状がつかめるようになってくる仕組みになっています。
服薬をしているなら、記入しながら通院もしますから、医師にフィードバックを得ることも可能です。
「治療の最適化」とは、必要な情報をシートに記入して日誌にすることにより、症状の経過や、お薬の効き方・発作のタイミングなどが「見える化」するんです。
ただ定期的に、定時にお薬を飲み・予防すると言うのではなく、生活史をつけて、症状や発作のパターンを記入して把握します。
負担もないように、簡単にチェックすることもできるようになっていました。
「治療の最適化」とは、最適な治療環境に置くことで、お薬の効き方を最大限にすることで、お薬の量を最低限にします。
これを習慣化して、続けていくうちにお薬も飲まなくなるということが期待できるという仕組みです。
もちろん、お薬を飲まなくなっても、ある程度続けることで、再発のリスクも減らしていくことができるそうです。
だいたい、てんかんならば、3~5年とか、短い人では2年とか発作がないと、再発のリスクもかなり減って行くようです。
パーキンソン病でも、同じような仕組みです。
まだまだ、軽症の人は治る可能性があると言う水準です。
しかし、治療の最適化を行えば、予後に差が出ることが期待できます。

あと、自閉スペクトラムの医学的介入という点では、栄養や身体(的)アプローチもあるのではないでしょうか。
日誌療法のレパートリーでは、古くから知られているものに、「睡眠日誌」があります。
これは、メラトニンを使わなくても、不眠症の方にかなり幅広く使える治療法です。

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yasu

なるほど、面白い試みですね。最近はスマホやウェアラブル端末も普及していますからこういったモニター作業はかなりやりやすくなっていますので、新しい展開が開けるかもしれません。薬の服用を最適化する試みは昔からあって、時間薬理学といった分野もその一つです。薬の量が減れば副作用リスクも減りますから、間違いなくよいことですね。

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yasu

2020年2月15日に行われた、国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター(NCNP)主催の市民公開講座 「発達障害の最新の知見」の続編です。

演題2:「ADHD」
精神保健研究所 知的・発達障害研究部 加賀佳美先生

ADHDの特徴として、家事が上手くできない、不注意、時間管理が苦手、物事を順序立てて行うことが難しいのが挙げられる。は興味があることに集中して切替が難しいので、結果として不注意になるという捉え方をする。

生活や学業に支障が出ていなければ診断する必要は無い。あくまで支援が必要か否かで判断される(※ここが重要です。支障が出ている→診断・支援 であって、実生活から切り離した評価はありえません)

日本では1990年後半から知られるようになった疾患であり、それ以前には診断は無かった。歴史的には1775年にドイツでの報告が初。

日本人の有病率を報告した研究は2つあり、千葉県市川市で7.7%、愛知県蟹江町で5.8%。ちなみに欧米の報告は小児5.9-7.1%、成人で5%程度。成人になると多動・衝動型が減少し、不注意優性型が多くなる。(※小学校低学年で授業中の離席があったが高学年になるにつれ減っていくという話は結構聞きますので、それと合致する内容です)このため女性の比率が上がると考えられている。主症状の一部が発達に伴い改善し、診断基準を満たさなくなってくることがある。また社会人になると支援が不要になる場合あり。

脳機能からの分析では、ADHDでは特に抑制機能障害が指摘されている。近赤外線スペクトロスコピー(NIRS)を用いて研究中。

<ADHDの不注意について>
不注意には、選択的注意(たくさんの情報があると目移りする)、持続的注意(集中力が続かない)、注意の切替え(集中しすぎて次のことに切り替えられない)の3つの種類がある。「注意の切替えが上手くできない」というのは日常生活を困難にしてしまい、この3つの中では一番困るだろう。

<ADHDの治療・非薬物編>
当事者支援、学校、教育との連携、行政との連携、親・家族支援がある。親・家族支援は厚労省が力を入れている部分。基本的には環境調整で、その他は行動療法と薬物療法。行動療法の中にはペアレントトレーニングが含まれる。自らも発達障害がある子育てを経験し、かつ相談支援に関する一連のトレーニングを受けた親をペアレントメンターとして支援に参加させる動きがあり、厚労省においても有効な家族支援システムとして推奨しているとのこと。

<ADHDの治療・薬物編>
御三家(コンサータ、ストラテラ、インチュニブ)と新顔(ビバンゼ)についての簡単な解説あり。コンサータは30日処方制限あり。ビバンゼの位置づけはコンサータよりも効果が強い薬であり、他のADHD薬で効果が不十分な場合に限って使用。成人適応が取れる可能性は少ないだろうとのこと。薬物使用は治療の1オプションという位置づけで、必要に応じて処方。一概に必要/不要とは言えないとのこと。

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