発達障害医療の大御所と言えば杉山登志郎先生。その著作はいつも私たちに大きな学びを与えてくれます。先生は治すことを熱心に追求されているように私たちには見えます。
ところが、先生が長年活動を共にしている「アスペ・エルデの会」によると、杉山先生ご自身は「治らない」とおっしゃっているそうです。そして著作の中で「治る」と言っていると誤解される箇所は増刷時に変更するということです。
杉山先生のご著書で「どうしても治るとおっしゃっているとしか思えない」ところがありましたら
・書名
・該当ページ
・簡単な概略(なぜ治るとおっしゃっていると思われるか)を書き込んでください。
まとまったら「アスペ・エルデの会」に「治そう! 発達障害 どっとこむ」からお送りしようと計画しています。
「発達障害の薬物療法」
少量投与かと思って読んだら、「極少量処方」だそうです。
超少量の処方。
コレで効くのか???と言うくらいの量。
いくら何でもと思って、自分でもなぜその量で効くのか、調べてみました。
過敏性の裏付けは、お薬の部屋にも書きましたが、明白な裏付けがたくさんありますね。
杉山先生は、「独断」と仰っていますが、実際のところ、裏付けがあるようなんです。
私自身もそうですしね。
「子育てで一番大切なこと」P231
杉山先生の発達障害治療の中核にトラウマ処理があるらしいことを、杉山先生の本を愛読していらっしゃる皆様ならご存じでしょう。そしてそのための手法を(今の時点で)エビデンスベースドなものと代替医療と見なされるものに分け、患者さんのニーズに応じて両方使い分けていらっしゃることも発達障害関係者の中で杉山先生のお仕事を追ってきた人の間では常識ですね。それを杉山先生が「ルビコン川」に例えていらしゃるのも、複数の著書で確認できます。EBMがルビコン川の手前、代替医療がルビコン側の向こうで杉山先生は時としてルビコン川を渡るつもりで代替医療のトラウマ治療に手を出されています。
そして同書でこう述べられています。
「ルビコン川のあちら側の治療法に関しても、きちんと科学的な検証をしていくことが次世代を担う君たちの役割だと僕は思うよ」。
40年前で止まっているギョーカイにこれは期待できそうにありません。
一方で個々の家庭ではEBMと代替療法の境目はルビコン川ではありません。
ちょろちょろ流れる小川のようなものですね。
軽々飛び越えて、「まずそう」だったらまたすぐ飛び越えて帰ってくればいいものです。
杉山先生がなぜルビコン川を越えるか?
それは川の向こうの方が明らかに効果があることがあるからですね。
代替医療も、少しずつ幾所がわかってくるはずだと思います。
私も、身体アプローチをいくつか自分なりに仮説を立てて、なぜ効くのかを考えました。
科学的にどうこうと言うか、物理の法則も関わっていました。
八の字歩きは、ジャイロ(軸)を補正するときに、ドローンを動かす動きです。
コレは一般にキャリブレーションと言い、科学的と言うか、物理の世界ですね。
他にもいくつかあったと思いますが、自分なりの体験とかと結び付けて、「何故効くのか」を考えながらやってみるのもいいと思えますね。
「子育てで一番大切なこと」P224に、後進にきついお言葉が。
「日本の自称研究者たちは不徹底でね。中途半端にEBMを信奉する一方で臨床の示す事実に鈍感と言うしかない」
治っている人がこんなにいるのに認めず「一生治らない」にしがみつく医療者たちについては杉山先生も気づいていらっしゃるようですね。
杉山先生の本、今日四冊読みました。
それで、杉山先生自身が、EBMを重視する立場であって、統計や・数値を重視しているからこそ、言えることなんだろうと思うんです。
EBMを無視してるなら、批判することはできないと言うわけですね。
他方、「子育てて一番大切なこと」では、三人の登場人物が現れるから、具体的なエピソードも出てくるのかな???と思いつつ、期待したところが、一つも症例が出てこない。
杉山先生は、個々人を見ると言うより、発達障害全体を見ている。
それでは、一つ一つの症例にまで、深く切り込むことができない。
これでは、相当時間がかかっても、すぐに明らかになることは多くはないだろう、そう思いました。