<本編第10回>
第9回はこちら
https://naosouhattatushogai.com/blue-room/933/
前回は、自他の切り分けの失敗例でした。今回は、違うパラダイムの切り分けの失敗例です。
■違うパラダイムの切り分けに失敗している人々
連載第8回で、花風社の本を読んで分析した専門職を取り上げました。ああいう人は違うパラダイムの切り分けができています。
よって違うパラダイムをある程度理解でき、恐怖が発生しません。結果として花風社に総論として反対であってもアンチにはなりません。
ところが、専門職アンチはこれができない人がちらほらいて、違うパラダイムへの恐怖を超克できません。
以下、2つのパターンを俯瞰します。
■専門職アンチのパターン1. ~読んでいない~
花風社の本を読んでいないアンチは、切り分け以前にそもそも何もしていないですから、違うパラダイムが怖いままです。
彼らはなぜ花風社の本を読まないのでしょうか。ここで、ある専門職アンチ同士の会話を見てみましょう。
●専門職アンチの会話
専門職アンチA 「花風社の本を読んでみようかな」
専門職アンチB 「やめとけやめとけwww」
専門職アンチA 「読んでも、私は大丈夫」
なぜこの2人は、花風社の本を読むことをためらうのでしょうか。「読んでも、私は大丈夫」とはどういう意味でしょうか。さらに、もう一人の専門職アンチの例を見ます。
■専門職アンチのパターン2.~全否定するために読む~
専門職アンチCは、「芋本」と、「治るが勝ち」「NEURO」を読んでいました。結論から言うと、全否定するために読んでいます。
★芋づる式に治そう!
「対話形式で読みにくい」と不満を述べます。評論家的に読んでいるからです。神田橋先生が仰る通り、花風社の本の対話形式は、自分の事として読む人には分かりやすく、評論家的に読む人には読みにくいのです。
そして自分の専門分野と違うパラダイムなので、「?!?!」となっていき、理解不能になっていました。そして「あんな間違いだらけの本は読んでもらいたくない」となっていました。
しかし正確な実情を言うと、理解する程には深く読み込みたくないのです。
★発達障害、治るが勝ち!
この本については、以下のように述べていました。
「前半は、反医療の連中が信者を医療から引きはがすロジックダー」
「後半は、『NEURO』と似たようなものダー」
この2冊も全否定するために表面だけ読んでいます。
この一方、以前紹介した本の切り分けができる専門職は、「治るが勝ち」のロジックの組み立てまで丁寧に追っていました。そして、ロジックの何段階目まで納得できるか、どの段階からは納得できないかを切り分けしていました。
しかし専門職アンチCは本の内容の切り分けをすることができないので全否定です。
★NEURO~神経発達障害という突破口~
NEUROに関しては以下です。
「ABAの曲解ダー」
「神経は全身にあるからどうのこうの」
you tubeでNEUROの書評を上げている人のほうが余程意味をとってしっかりと読めています。参考までに動画をあげますが、この方はクラスタでもアンチでもありません。これが一般的な人の読み方です。
参考:なかじまなび塾:この場で速読して本紹介
その39「NEURO 神経発達障害という突破口」浅見淳子 著
https://www.youtube.com/watch?v=Dkd3TKxU7hM
このように専門職アンチCは、何冊かの表面だけを読んで全否定しています。なぜしっかりと深く読み、意味を取りたくないのでしょうか。
■「読むと洗脳される」
専門職アンチは、花風社の本を読んで、少しでも賛成点があると、もうそれでトンデモに引きずりこまれると感じています。つまり、花風社の本を本気できちんと読むと洗脳されると思っています。
冒頭の専門職アンチAの「読んでも、私は大丈夫」というのは、「私は読んでも洗脳されない」「トンデモ堕ちしない」「だまされない」という意味です。
専門職アンチCが、花風社の本を表面しか読まないのも同じです。彼らにとっては、「異教の経典」に対して部分的にであっても、理解したり共感することがもう恐怖なのです。
つまり各論賛成ですら怖いのです。彼らの中では「各論賛成=トンデモに足を取られた」ですから、深入りをしないようにして、全否定するような読み方をせざるを得なくなります。
■専門職アンチの本の読み方
専門職アンチは、自分が本を読む時に、0か100か・・・つまり、全部賛成か全部反対かという読み方しかできません。
それに対して、本の内容の切り分けというのは、例えば「40%賛成、60%反対」とか「70%賛成、30%反対だが、ある一点については決定的に反対なので、70%は分かるが、総論としては反対である」というような読み方です。
つまり、本を前にして自分のアタマで考える読み方です。
ところが、とにかく専門職アンチは花風社の本に必死で0点をつけたがります。そして、花風社の本の読者は、みな盲目的に本の内容に100%賛成している、キモい信者と思っているのです。
だから「あんな間違いだらけの本は読んでもらいたくない」となります。
これは自分が本を読む際には100%賛成で・・・つまり切り分けをせず「自分を洗脳するように」本を読む癖があるので、他の人も「間違った知識をアタマに刷り込むように読む」と思ってしまうのです。
■試験勉強の影響
もうお気づきかと思いますが、これはおそらく試験勉強の影響です。彼らは国家資格や学歴を得る際に、目の前の教科書に100%賛成して暗記を行って受かったと思われます。
その後の資格の更新も同様です。彼らは自分の専門分野の本や論文に対しては、100%賛成して暗記していると思われます。つまり自分で自分を洗脳するようにして読みます。
そして、それ以外のもの、例えば別の専門分野や、「エビデンスがない」などとされたものに対しては「0%賛成」となります。
(※細かくは「エビデンス」「論文」に対しても「100%賛成」という具合です)
このように、専門職アンチは情報処理の仕方が、0か100かのデジタルです。
教科書に対して内容を切り分けた上で、「教科書にはこう書いてあるが、このポイントについては、私はこうは思わない。別のアプローチができるかもしれない」ということをできる人は、かなりの知力です。
自分のアタマで考えて、教科書を健全に疑えるからです。
(※エビデンスに対しても同様です)
しかし、専門職アンチはそこまでの知力ではありません。事例にも挙げた通り、そもそも本を切り分けて読むということをしません。だから異なるパラダイムの切り分けに失敗します。
■学んだことを健全に疑えない
勉強は基本的に、賢くなるために行います。ただ例外として、学べば学ぶほどアタマが弱体化する条件があります。
それは、自分が今学んでいること、あるいは過去に学んだことを健全に疑えないことです。学べば学ぶほど、自分のアタマで考えない癖がついていくのです。
学んだことを健全に疑えないということは、当然過去の専門知識のアップデートもできません。専門知識に関して、「先着1名様」となります。
■恐怖はむしろ増す
いくら花風社の本を表面だけ読んで全否定しても、「異教徒」への恐怖はかえって増加していきます。
なぜなら彼らにとっては「0%賛成の本=まったく理のないはずのもの」を信奉する人々が増える風景・・・つまり意味不明なキモい風景を見せつけられるからです。
第8回でも述べたように、本の意味を深く取って内容の切り分けができれば「自分的にこの主張は納得がいかない」「各論に賛成もあるが、総論は反対」という具合に、異なるパラダイムを切り分けて理解できます。結果として恐怖も発生しません。
■まとめ
ここまで述べたように、自他の切り分けと、異なるパラダイムの切り分けに両方とも失敗するとアンチになります。
それは自分のフィールドに理解不能の一団が侵出してきたように感じるからで、結果として深層心理下で恐怖が発生し、反射で否定的言動が出るからです。
また、この2種類の切り分けのうち片方でも上手くいけばアンチになりません。
専門職は、往々にして仕事の範囲に発達障害も含むので、花風社が自分のフィールドに入ってきます。そのため花風社に対して自他の切り分けがしにくい場合があります。
そこで、異なるパラダイムの切り分けができるどうか、つまり自分の専門分野以外の知識についてどう対応するかが問題になります。
これはアンチになった専門職とならなかった専門職について、花風社の本の読み方を比較すると今回の記事のようなことが分かります。
今回はここまでです。次回は以前予告していた通り、「執着の理由」です。
元記事はこちら
https://naosouhattatushogai.com/all/conference-room/623/comment-page-4/#comment-4322
本編一覧はこちら
本編第11回 前編
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